確定申告の控除対象が大幅拡大「セルフメディケーション税制」、のど飴や漢方薬…かゆみ止めも!ドラッグストアでいつも購入しているあの薬も、控除対象かもしれない  (写真はイメージです)Photo:PIXTA

市販薬の購入にかかった費用を収入から差し引くことで、税負担を軽減できる「セルフメディケーション税制」。2017年の開始当初は控除対象の医薬品が限定的だったため、利用者がほとんどいなかった。しかし2022年度の確定申告分から控除対象の商品が大幅に拡大し、使い勝手が良くなった。『医療費の裏ワザと落とし穴』の第276回では、その最新情報をお届けする。(フリーライター 早川幸子)

確定申告の医療費控除の特例として
設けられた制度

 前回は、確定申告の医療費控除で、より多くの還付金を取り戻すための2つのポイントをお伝えした。

 医療費控除は、医療費が高額になった人の家計に配慮してつくられた優遇税制だ。利用できれば所得税が還付されるお得な制度だが、原則的に昨年1年間の家族みんなの医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%)を超えなければ申請できない。

 だが、「病院や診療所には行かずに、市販薬を服用して病気を治した」という人もいるだろう。公的な医療保険を使わずに、自分で購入した薬で治療したという点では、国の医療費削減に貢献している人とみることもできる。

 そこで、医療費控除の特例として設けられたのが、市販薬の購入に限定した「セルフメディケーション税制」だ。

 制度がスタートした当初、控除対象の医薬品が限定的だったため、利用者はほとんどいなかった。だが、2022年分の申告から控除対象の商品が大幅に拡大され、使い勝手が良くなっている。

 ただし、利用には「健康増進のための一定の取組」を行っていることが条件になっている。今回は、セルフメディケーション税制を利用するための、2つの要件を確認していきたい。