今では考えられないが、バブルの頃は企業が内定者を逃がさないように海外旅行に招待することもあった。これが一転したのが就職氷河期で、1991年に81.3%だった大卒の就職内定率は2003年には55.1%まで落ち込んだのだった。1990年代中旬の就活生たちは、華々しく内定を獲得していた先輩の姿と自分たちとの違いに愕然としただろう。

 一流企業を狙うどころか、卒業までに就職が決まらない学生が珍しくなかった時代に辛酸を舐めたのが、今の40代〜50代前半(出生年は1970年〜1984年頃)である。

 しかし議場には、この年代の議員が少なかったのだろうか。もしくは二世議員は就職には苦労することがなかったのだろうか。伊藤議員のエピソードに吹き出したり、「オレ全部受かった」と言った議員がいたりしたという様子を聞くと、政治家たちは氷河期世代の受難を忘れてしまったのかと言いたくなる。

庶民感覚の欠如と時代錯誤
的外れな政策が量産される温床

 伊藤議員は3月31日に、今度は「就職氷河期」の言葉を使って、次のように投稿している。

<投稿内容の引用>

「登壇すると議員の顔は全て見えます。寝るも笑うも呟きまでもよく聞こえます。 国会には就職氷河期の奮闘を笑う議員もいれば、少子化を『男と女がいれば子供は生まれるんだよ』と野次る議員もいます。 そういう課題認識の元で的外れな政策が量産されているのです。変えねば。次世代に申し訳が立たない」

https://x.com/itotakae0630/status/1774199855617085501

 庶民感覚のなさに無自覚だったり、的外れで時代錯誤なヤジを堂々と飛ばしたり。問題意識に欠けた議員こそが日本社会の「課題」なのだろう。

 ちなみに伊藤議員自身は1998年にテレビ大阪に入社し、その後資生堂、リクルートとキャリアを重ねている。女性は特に就職が難しかった時代において、相当の努力があったのではないか。