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中国語ができなくても大丈夫 野口悠紀雄の中国経済統計「超」読解法

パナソニックはなぜハイアールに敵わないのか?

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第21回】 2013年4月11日
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 これまで見てきたように、中国の場合、GDP(国内総生産)など政府によって作成・公表されるマクロ統計は、あまり詳しくない。また、住宅価格などは、伸び率しか分からず、水準が公表されない。不都合なデータが意図的に隠蔽されているのではないかとの疑いも生じる。また、使い勝手もよくない。

 これに対して、上場企業の場合には、財務データを中心として、世界的な基準にしたがってのデータが公開されている。同一ベースでデータの国際比較ができることの意味は大きい。

 だから、情報のありかと調べ方を知っていれば、かなりのことが分かる。ただし、日本の法人企業統計に相当するような統計がないので、全体像は分からない。分かるのは、あくまでも個別企業だ。

 ただし、それを日本企業と比較することによって、日本企業の問題点が分かる。中国の企業を調べることだけでなく、中国との比較において日本を見ることも重要だ。

 以下では、中国の家電メーカーのハイアールと、日本のパナソニックを比較してみよう。

急速に成長したハイアール

 ハイアール・グループ(海爾集団)は、家庭電化製品のメーカーだ。青島市から青島冷蔵庫本工場という集団所有制企業に派遣された張瑞敏が、1984年に設立した企業だ。87年に「ハイアール」と改称した(詳しい説明は、同社のホームページのhttp://www.haier.net/cn/about_haier/history/にある)。

 赴任直後の張が、同社が生産した不良品を全従業員が見守る中で打ち壊し、「品質こそ命」という考えを従業員全員に叩き込んだというエピソードは有名だ。これによって、「中国製品は安いが粗悪品」というイメージを払しょくしたと言われる。さらに、彼は「農民出身者で一般労働者として採用された者でも、業績次第では管理者になれる」という方針を確立した。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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中国語ができなくても大丈夫 野口悠紀雄の中国経済統計「超」読解法

多くの日本企業が中国関連事業を将来の事業計画の中核に据えている。したがって、中国に関する情報の入手はこれからのビジネスマンにとって重要な課題だ。本連載では、中国語ができなくても、中国語で中国の情報を収集するノウハウを提供する。 

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