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放射能、アスベスト、有害ゴミ……「環境汚染大国ニッポン」

説明会前の混乱で4人が逮捕
問われる市民運動への「威力」の多用(8)

井部正之 [ジャーナリスト]
【第24回】 2013年4月18日
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2011年3月の東日本大震災で発生した震災がれきを全国各地で受け入れて処理する、いわゆる震災がれきの「広域処理」。現在大阪市が計画している「広域処理」に対して反対運動が続いているが、そうした反対派の逮捕が相次いでいる。2012年12月には関西の広域処理反対運動のリーダー的な存在である阪南大学准教授の下地真樹氏ら3人が逮捕された。下地氏ら2人は20日の勾留後、釈放されたが1人は起訴された。がれき広域処理の反対運動に対する弾圧との指摘もある一連の警察介入の真相に迫るとともに、今年2月から震災がれきの受け入れを本格実施した大阪市の状況を報告する。

説明会前の逮捕劇

 2012年11月13日午後5時過ぎ、大阪市における震災がれきの受け入れ処理、いわゆる広域処理についての説明会を約2時間後に控えた市内の此花区民ホールで抗議行動が続いていた。

 「がれき反対!」「(がれきの)受け入れ反対!」

 区民ホール玄関の広間で、大阪市のがれき受け入れに反対する人びとが太鼓の音に合わせてシュプレヒコールを繰り返す。抗議行動の参加者は20人ほどという。

 そこに100人規模とも報じられた警官隊が飛び込んできた。玄関ホールは機動隊員や警察官でごった返す。

 「警察帰れ!」「暴力やめろ!」

 笛の音、太鼓の音に混ざって、怒鳴り声や叫び声がときおり響く。警官隊の突入で玄関ホールは混乱した状態となった。

 そうしたなか、警官の1人が階段に座り込んでいた女性を指さすと、何人かの警官がその女性を階段下に引きずり下ろす。無理に引っ張られたため、女性は階段下に落ちて転んだ。これが本連載第20回で報じた、「獄中で拷問」状態に置かれたと憲法学者が告発していた大山裕喜子さんの逮捕のようすである。大山さんも「暴力的な連行」と勾留理由開示公判で証言している。

 男性の1人は多数の警官に周りを囲まれて押し出されるように施設の外に連れて行かれた。こうして4人が現行犯逮捕された。

 大阪府警の発表によれば、大山さんら3人は「共謀のうえ、此花区でおこなわれる説明会を妨害する目的で大阪市が管理する敷地内に侵入した」という建造物侵入容疑、もう1人は「被疑者逮捕を妨害した」という公務執行妨害容疑である。

 なお、建造物侵入容疑の1人は、10月17日のJR大阪駅前における抗議行動で阪南大学経済学部・下地真樹准教授らとともに威力業務妨害などに問われ、1人だけ起訴されたHさんこと韓基大(はん・きで)さんである。これまで匿名にしてきたが、実名を公表して不当性をより強く訴えることになったという。

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井部正之 [ジャーナリスト]

地方紙カメラマン、業界誌記者を経て、2002年よりフリー。現在アジアプレス・インターナショナル所属。産業公害や環境汚染、ゴミ問題などを中心に取材している。


放射能、アスベスト、有害ゴミ……「環境汚染大国ニッポン」

2011年3月11日、東日本大震災が発生し、東京電力福島第一原子力発電所の事故による大量の放射能がまき散らされた。それ以来、私たちの生活は大きく変わった。降ってくる雨水、蛇口から出る水、スーパーで売られている食べ物……、ありとあらゆるものが、放射能に汚染されているのではと、汚染を疑わざるを得なくなったのだ。しかし、こうした私たちの生命と健康を脅かす汚染は、なにも3.11で始まったわけではない。アスベスト、他のさまざまな有害ゴミは、もともと私たちの生活のすぐそこに存在した。環境汚染大国ニッポンー◯。その実態をレポートする。

「放射能、アスベスト、有害ゴミ……「環境汚染大国ニッポン」」

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