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インフレをめぐる3つの疑問
【第3回】 2013年4月24日
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佐々木融

インフレは円安圧力を強める効果があるのか?

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アベノミクスで大幅な円安・株高が進んでいる。「どんどん円安方向に誘導してインフレ率も押し上げればいい」という意見があるが、それは本質を見誤っている。日本に今必要なのは、強い需要である。しかも、インフレが円安圧力を強める効果もそもそも疑問である。

 日本銀行が2%のインフレターゲットを導入し、黒田東彦・新日銀総裁が異次元の金融緩和を行う中で、大幅な円安・株高が進んでいる。経済全般のセンチメントは明るく、金融資本市場も活況を呈している。

 こうして未曾有の金融緩和を進める日本に、興味を持つ海外投資家は急増している。筆者は2013年1月最終週から7週間のうち、5週間を海外出張に費やし、海外のヘッジファンド等の顧客に日本の現状を説明してまわった。ミーティングは1日6〜7件にのぼり、それほど海外の投資家の日本に対する興味は強かった。

 なぜなら、金融危機に揺れた世界経済の大きな流れの中で、日本が先頭を走っているからだ。欧米の投資家やエコノミスト、当局者は、自国経済が将来直面しそうな状況にどのように対処すべきか、シミュレーションする意味で、日本の動きに(反面教師としても)注目していのである。

 彼らからは「日銀は外債を購入して、米ドル/円相場をどんどん円安方向に誘導し、インフレ率も押し上げればいい」などとも、よく言われる。しかし、こうした意見は問題の本質を見誤っている。

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佐々木 融(ささき・とおる)JPモルガン・チェース銀行債券為替調査部長・マネジングディレクター。

上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行入行。最新刊は『インフレで私たちの収入は本当に増えるのか? デフレ脱却をめぐる6つの疑問』(小社刊)。


インフレをめぐる3つの疑問

日本では「デフレは悪で、インフレが望ましい」という考え方が広がり、定着しつつあります。特に安倍晋三首相が選挙前から「量的緩和の拡大」「デフレからインフレへ」などと盛んに発言し、実際にマーケットが円安・株高に動いたため、この風潮はますます強まっています。経済が停滞しているのも、若者の就職難もデフレのせいで、インフレになれば経済が活性化し、苦しい生活が楽になるがごとく喧伝されますが、本当にそうでしょうか? インフレの基本的構造や金融政策の仕組み、それらの個人や企業への影響、為替との関係などを分かりやすく解説する全3回。著者は、処女作『弱い日本の強い円』(日本経済新聞出版社、2011年)が11万部と大ヒットした、佐々木 融さん(JPモルガン・チェース銀行債券為替調査部長・マネジングディレクター)です。
 

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