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「これからの世界」で働く君たちへ
【第5回】 2013年5月7日
著者・コラム紹介バックナンバー
山元賢治

伝説の元アップル・ジャパン社長が教える
「これからの世界」での働き方 4
“プレゼンは本気で「対話する」覚悟を持つ”

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iPodからiPhoneまで、アップル復活の舞台裏を知る「唯一の日本人経営者」が、アップル退社後に初めて語る「これからの世界」での働き方。今注目されるプレゼンのスキルは、ジョブズのテクニックを真似するより、聞く人との「対話」を意識することから始めなければいけない。

プレゼンは本気で「対話する」覚悟を持つ

 これからのビジネスシーンで確実に必要になってくるスキルに、プレゼンテーションのスキルがあります。日本の文化の中では、これまであまり人前で話す力や、聴衆を魅了する技術については重要視されてきませんでした。

 私はよく企業で話す機会をいただくのですが、いまだに上場企業の社長でも、もごもごとよくわからないことを言って、社員が当惑している様子を見かけます。しかし、テレビなどでスティーブ・ジョブズのプレゼンテーションを目にして、このプレゼンの力がビジョンを示したり、お客様に影響力を与える上で、いかに重要なビジネススキルかを改めて意識した人も多いのではないでしょうか。

 何も社長のような立場ではなくても、普通の社員でもみんなの前で話す機会はあります。伝える力を持っているだけでなく、聴く人を魅了する力があれば、情報を正確に伝達する以上の効果がそこにはあるのです。自分自身を発信源にして、broadcasting 的な機能を果たせる力は、これからの時代を生きるためには強力な武器となります。

 私がはじめて生でスティーブのプレゼンを聴いたのは、入社した直後の2004年夏のWorld Wide Developer Conference(WWDC)でした。約5000人の聴衆のほとんどが、拍手喝采、声援の嵐だったこの場で、私は立ち上がれないほどの興奮を覚えるという洗礼を受けました。

 それまでBtoBビジネスの経験しかなかった私には、聴衆のあまりの興奮ぶりに、相当数の「さくら」が交じっているのではないかと疑ったくらい、信じられない光景でした。スティーブの話すリズムや強弱、イントネーション、息継ぎ、間の取り方、さらにはゲストの登場から映像の流れるタイミングなど、まさに完璧でした。

 誰もがスティーブのように話すことは到底無理な話です。ただ、アップルで働くようになってわかったことですが、あの天才スティーブでも、実は膨大な練習をこなしてプレゼンに挑んでいたのです。

 プレゼンの価値を誰よりも理解していた彼は、公開されていない秘密の場所で練習を繰り返しており、まさにマイケル・ジャクソンの『THIS IS IT』の世界そのものだったと思われます。

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山元賢治

1959年生まれ。神戸大学卒業後、日本IBMに入社。日本オラクル、ケイデンスを経て、EMCジャパン副社長。2002年、日本オラクルへ復帰。専務として営業・マーケティング・開発にわたる総勢1600人の責任者となり、BtoBの世界の巨人、ラリー・エリソンと仕事をする。2004年にスティーブ・ジョブズと出会い、アップル・ジャパンの代表取締役社長に就任。iPodビジネスの立ち上げからiPhoneを市場に送り出すまで関わり、アップルの復活に貢献。
現在(株)コミュニカ代表取締役、(株)ヴェロチタの取締役会長を兼任。また、(株)Plan・Do・See、(株)エスキュービズム、(株)リザーブリンク、(株)Gengo、(株)F.A.N、(株)マジックハット、グローバル・ブレイン(株)の顧問を務める。その他、私塾「山元塾」を開き、21世紀の坂本龍馬を生み出すべく、多くの若者へのアドバイスと講演活動を行っている。
著書に『ハイタッチ』『外資で結果を出せる人 出せない人』(共に日本経済新聞出版社)、共著に『世界でたたかう英語』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。

 


「これからの世界」で働く君たちへ

ジョブズ、ティム・クック、ラリー・エリソン、マイケル・ラトガースら、ビジネス界の巨人とわたり合い、アップル復活の舞台裏を知る「唯一の日本人経営者」が教える、21世紀を生き抜く40の指針。この連載では、書籍に掲載した40の講義から10個を再編集してご紹介します。

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