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アマデウスたち

浅田真央
達成感を味わうために勝ちたい

週刊ダイヤモンド編集部
【第62回】 2009年1月16日
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浅田真央
写真 加藤昌人

 ポニーテールを揺らして現れた17歳の笑顔は、天使を思わせた。

 2008年3月に開かれた世界選手権。ショートプログラム2位で迎えたフリー演技で、最初のジャンプを踏み切ろうとした途端に転倒、氷に激しく体をぶつけた。「そこでやめようとは思わなかった。ただ自分にあきれていた。でも、次のジャンプを跳び終えたら、もう頭が切り替わっていた」。その後の滑りはじつに安定していて、見事、逆転優勝を果たす。

 張り裂けそうな動揺を一瞬にして静める、心の強さはどこからくるのか。「小学生の頃に出た大会では、足がすくんで、ジャンプを一つも跳べなかったこともあった。ミスを引きずった試合もあった。その経験があるから、今は地に足が着いて、練習の滑りを再現することだけに集中できる」。

 感極まり涙を見せる場面が増えた。「昔はワクワクして試合に臨んだ。今は勝ちたいと思う。2005年のグランプリファイナルで優勝したとき、大勢の観客を前にした緊張感のなかでの達成感は、こんなに気持ちいいものなんだと初めて実感した。自然にその感情があらわになっているのだと思う」。

 天才と呼ばれ、期待を一身に集めてきたアスリートの、自分と向き合う孤独は深いに違いない。それでも「スケートを嫌いになったことはない」。

 石川啄木の歌にある、まさしく「世の中の明るさのみを吸うごとき黒き瞳」は、2010年のバンクーバー五輪を見据えている。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 遠藤典子)

浅田真央(Mao Asada)●フィギュアスケート選手。1990年生まれ。中京大学付属中京高等学校在籍。2007~08年のシーズンでは世界選手権優勝、四大陸選手権優勝、グランプリファイナル準優勝、グランプリシリーズフランスおよびカナダ大会優勝。今季から金メダリストを数多く育てたタチアナ・タラソワ氏に師事。2010年のバンクーバー五輪金メダルを目指す。

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