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インキュベーションの虚と実

プチバブル化するベンチャー投資
投資家、起業家よ、今すぐ頭を冷やせ!

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【第28回】 2013年6月10日
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 「今年はもうベンチャーへの投資はやめようと思う」

 「投資家が増え、値段が高くなって、手が出せない」

 このところ、日本のベンチャー投資がプチバブル化していると、ため息をつくベンチャーキャピタリストが増えている。

 米国はじめ各国でシリーズAクランチ(参考:第20回)が話題となっているが、日本では逆のことが起こっているということか。なぜプチバブル化しているのだろうか? また、それはベンチャー側と投資家側にとって、どのような問題をもたらすのか? 状況と課題について考えてみたい。

 なお今回は、スタートアップの初期段階であるシード投資のステージを、通過した後の段階(シリーズA以降)について議論する。シード投資については追って別の機会に取り上げたい。また、案件によっては評価が低すぎることもあるが、今回はプチバブル化の問題にフォーカスしてマクロ的な視点から議論する。

日本ではROIはほぼゼロ?!
甘い日本のベンチャーキャピタル

 いまのプチバブル化の話の前に、ベンチャー投資における日本の事情を少しだけ紹介しておきたい。

 昨年、あるベンチャー企業が増資しようと日米の双方の投資家にアプローチした。すると、起業家側が示した評価額(会社の値段、時価総額)に対して、日本の投資家はOKしたが、米国の投資家は「冗談じゃない、常識を超えて高い、これでは検討すらできない」と反応したという。

 実はこれ、珍しい話ではない。筆者の直観ではあるが、日本におけるシリーズA以降のベンチャー投資では、評価額は米国相場の1.5~2倍といった値付けが珍しくないのだ。

 しかし、評価額が高い投資では投資家はなかなか儲けることができない。ジャパンベンチャーリサーチの調査では、日本でのベンチャーキャピタル投資のROIがほぼゼロであるという報告もある。もちろん、投資家や投資案件によりROIの数字はばらつくのだが、話題となったり目立つ会社には実態とかけ離れたかなり大きな評価額での投資がされていることがある。

 実際に、以下のようなぼやきを最近、よく耳にするようになった。

 「売上がロクにないのに10億や20億円の評価額で増資しようという案件が続出している」

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本荘修二 [新事業コンサルタント]

多摩大学客員教授、早稲田大学学術博士(国際経営)。ボストン・コンサルティング・グループ、米CSC、CSK/セガ・グループ会長付、ジェネラルアトランティック日本代表を経て、現在は本荘事務所代表。500 Startups、NetService Ventures Groupほか日米企業のアドバイザーでもある。


インキュベーションの虚と実

今、アメリカでは“スタートアップ”と呼ばれる、ベンチャー企業が次々と生まれている。なぜなら、そうした勢いある起業家たちを育てる土壌が整っており、インキュベーターも多く、なにより、チャレンジを支援する仕組みが存在するからだ。一方の日本はどうなのだろうか。日米のベンチャー界の環境の変化や最新のトレンドについて、25年にわたってベンチャー界に身を置いてきた本荘修二氏が解説する。また日本でベンチャーが育ちにくいと言われる背景を明らかにし、改善するための処方箋も提示する。

「インキュベーションの虚と実」

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