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森信茂樹の目覚めよ!納税者

アマゾン、グーグル、アップルにも波及
多国籍企業の租税回避にどう対処すべきか

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第51回】 2013年6月14日
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 スターバックス事件が引き金となって、脱税(違法)でもない節税(合法)でもない「租税回避(タックス・アボイダンス)」が世界的に大きな問題となりつつある。わが国でも、この問題を多国籍企業のモラルの問題と放置しておくのではなく、真剣に受け止めて、法律の整備などルールの明確化を進めていく必要がある。

アマゾン、グーグル、アップルにも波及

第47回のこの欄で取り上げた英国のスターバックス租税回避問題は、アマゾンやグーグルに波及し、米国やフランス・ドイツなど他の先進諸国にも影響が広がった。米国では、アップルが議会に呼ばれ、証言をしたが、財政赤字を背景に神経をとがらす先進国政府にとって、早急にこの問題に幕を引く様子はない。

 脱税でもない、節税でもない、法には反しないが、通常用いられないような法形式を選択し、税負担を減少させるのが「租税回避」である。

 私は、コロンビア大学ロースクールで租税法を学んだが、ニューヨークの高名な弁護士が教鞭をとる国際租税法の授業は、その大半が、いかに税負担を軽減するかというスキームの説明であったことに驚いた経験がある。

 一方で、一流大学を出た弁護士が、租税回避スキーム作りに精力を傾けることについては、これほど人材を無駄にするものはないと、大いに嘆くまっとうな教授もおられた。

租税回避のスキーム

 租税回避にはさまざまなスキームがあり、それを類型化することは難しい。問題となっているスターバックスやアップル、グーグルなどのスキームを見てみよう。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

「森信茂樹の目覚めよ!納税者」

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