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お酒を「飲みたくなくなる」
効果がある薬が国内初登場

工藤 渉
2013年7月4日
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 日本におけるアルコール依存症者の数は、ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)によれば80万人だが、予備軍はもっと多いことは想像に難くない。アルコールによる問題行動の被害を受けた人の数は3040万人(2005年・厚生労働省調べ)というから当人だけの問題ではない。

 治療法は確立されているが、一生にわたる断酒が条件なので、治療を受けない人、途中で投げ出す人も多い。そのため専門の医療機関で治療を受けつつ、自助グループに参加し、断酒の意思を持続させる必要があるのだ。

 薬も使用され効果を上げてはきたが、それらは「断酒薬」というより「嫌酒薬」である。少量のアルコールでも悪酔いしてしまうため、酒への欲求が自然と抑えられるという発想だ。よって、悪酔いしてでも飲みたいという向きにはあまり効果が期待できない。

「嫌酒薬」ではない

 この5月に日本新薬が発売した断酒補助剤である商品名「レグテクトR錠」(一般名:アカンプロサートカルシウム)は、その点で新しい作用が認められている。

 レグテクトR錠は中枢神経系に作用し、アルコール依存により脳内に過剰に存在する「グルタミン酸」という物質を抑える作用がある。それにより、飲酒欲求そのものを抑えることができるのだ。すでに欧米を中心に20数ヵ国で使用されているが、ようやく日本上陸の運びとなった。

 もちろん、レグテクトRは万能薬というわけではなく、医師の指導や自助グループでの支え合いもこれまで同様必要なのだが、「欲求そのものを抑える」という効果にはよくも悪くも「魔法の薬」を想起させられる。

 では、現代日本の他の依存――例えば煙草や過食に関しても同様に「欲求そのものを抑える」薬が存在するのだろうか?

 喫煙については例えばチャンピックスという断煙時の禁断症状を抑える薬があり、禁煙外来で処方されることもある。また食欲に関しては、日本でも承認済のサノレックスという薬による食欲を抑える効果が知られている。

 ただし、いずれの薬にも副作用はある。ほとんど感じない人から、重篤な症状に至る人までさまざまだが、あくまで医師の管理下での服用が前提である。たとえ確率は低くとも重い副作用を覚悟する必要があるし、100%の人間に効き目があるわけではないのだから「魔法の薬」には程遠い。当然ながら製薬会社が「魔法の薬」と謳っているわけではないし、処方時には医師から副作用についての説明をしっかり聞く必要がある。

 アルコール、タバコ、食欲以外にも、欲望を抑える薬は出てくるのだろうか。物欲、色欲、睡眠欲…、考えるだに恐ろしくなる。

(工藤 渉/5時から作家塾(R)

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