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排出権-温室効果ガス削減に市場メカニズムを導入

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第7回】 2007年11月27日
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 排出権とは、京都議定書に規定されている、地球温暖化の原因の一つと考えられる温室効果ガスを排出することができる権利だ。

 この言葉が頻繁に出てくる背景には、地球温暖化の弊害が顕著になっているため、「世界全体で温室効果ガスの排出削減に努めるべき」との意識が高まっていることがある。そうした意識の高まりを背景に、議定書は先進国のガス排出量の削減目標を設定し、ガス排出量を減らすことによって温暖化現象に歯止めを掛けることを決議している。

途上国と米国が参加しない
京都議定書の限界

 1997年12月、気候変動枠組条約に基づき、京都の国際会館で開催された“地球温暖化防止京都会議”によって京都議定書が議決された。

 この議定書の主な内容は、地球温暖化の原因の一つである、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素など6種類の温室効果ガスについて、先進国全体の排出量を2008年から2012年までに、少なくとも1990年対比で5%削減することを決めていることだ。具体的には、EUは8%、米国は7%、ロシア0%、わが国は6%という具合に、先進国それぞれに排出量の削減目標が設定され、各締結国はその目標を達成することが求められている。

 議定書の大きな意義は、具体的な温室効果ガスの削減目標を設定することによって、各国が持っていた地球温暖化に対する危機感を実際の対策実施へと繋げたことだ。その意義は大きい。

 その一方、京都議定書には明確な限界がある。一つは、排出量削減の目標が設定されたのは先進国だけであり、中国やインドなど“途上国”に対する削減目標が設定されていないことだ。

 この背景には、現在の地球温暖化は、主に先進国の経済成長の結果=先進国の責任との考え方が反映されている。今後、成長過程を歩むと予想される“途上国”に対して温室効果ガスの排出量を制限することは、経済成長の権利を奪うものとして、当該諸国からの強い反発があった。しかし、温室効果ガスの排出量が多い中国等が議定書の制約を受けないことは、地球規模での温室効果ガス排出量の削減に大きな限界があるはずだ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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