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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

中国メディアの辛口報道に見る
花王の低迷と反攻への決断

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第167回】 2013年8月8日
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 中国のメディアに出ている経済関連の記事を読むとき、私が常に自分に求めているのはある程度割り引いて読むことだ。とくに中国企業の業績に関する報道だ。広告のスポンサーになってもらったりしているので、その企業に対しては都合の悪いことをあまり書かない。逆にいいところを吹聴してしまう恐れがある。

 しかし、報道対象が日本企業を含む外資系企業になると、逆に広告のスポンサーなどの金銭的関係がない分、時々、日本メディアの記事にはないストレートさと切れ味がある。先日、私が読んだ花王に関する『経済観察報』の報道記事はまさにその類の好例だと思う。

準備は早いが、実行は遅い

 記事は昨年の社長就任後、初の海外市場訪問に中国を選んだ澤田道隆社長に対するインタビューの形でスタートしたが、内容にはかなり厳しいところがある。

 まず、中国市場における花王は、「朝は早起きするが、市に出るのは遅い(準備は早くからしているが、実行に移すのは遅れる)」として、「120年の歴史を持つ老舗だが、中国に進出して20年、いまだに利益を出していない」と厳しく切り込み、「花王は中国で眠っている」と一喝した。

 さらに、「もう随分前から花王には関心を持たなくなった。この企業とブランドは市場においてほぼ何の動きもない」と、ある日用化学工業のアナリストのコメントを引用してから、「2012年の花王の中国エリアでの売上高は300億円で、世界全体の1.2兆円の総売上においては微々たるものであった」とイントロを終えた。

 そのように見られている花王の現状を澤田社長も認めている。

 「花王の中国事業はP&Gやユニリーバとほぼ同時期にスタートしたが、花王は伸びなかった。当時、花王は主に中国沿海部の3線、4線市場をターゲットとしていた。販売はすべて自分たちで行い、販売エリアもかなり限られたものだった」

 就任にあたっての強い意欲を表に出さなかった澤田社長に好意を見せながらも、厳しい視線は変えていない。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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