また、このデータはほかにも、たくさんの企業やメディアが実際に使っていると思われますので、これをビジネスの参考にすると危険な理由を、日本政府が調べた各種データに基づいて解説しましょう。

 問題にしている調査は、10〜64歳を対象として、9歳以下と65歳以上を対象外としていますが、60歳代をわざわざ半分に区切っている一方で、なぜ、小中学生の10〜14歳を対象にするのか、よくわかりません。10歳代から50歳代までは年齢を10歳ずつ区切っているのに、60歳代だけは64歳までの5歳で区切っているのも、たいへんにバランスが悪く感じられます。

テレビビジネスと高齢者

 仮に、10歳以上を対象とするやり方を受け入れるとして、日本の10歳以上の人口について、年齢構成をグラフ化したのが図表2です(2013年初めの人口に基づいて計算しました)。

 左側の円グラフをみると、65歳以上は27%を占めることがわかります。右側の2つの円グラフは、男女別に65歳以上の割合をみていて、男性で24%、女性で30%となります。

 20歳以上の成人で考えると、各円グラフで10%を占める10歳代を外すことになり、65歳以上を対象外とする調査は、成人男性の4人に1人(26%)、成人女性の3人に1人(33%)を無視することになります。私は、この問題点だけでも、先の図表1のようなデータはビジネスに使えないと断定したいのですが、納得できない人もいるでしょうから解説を続けます。

 ここで問題視している雑誌記事は、テレビについてのデータを整理していました。そして同じ雑誌の別ページには、「安いテレビを買うくらいならと、スマホやパソコンしか持たない若者もいる。(中略)テレビは富裕層と高齢者のものになりつつある」という記述もありました。……それなら、65歳以上を無視するべきではありません。