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出口治明の提言:日本の優先順位

2020年のオリンピック東京大会に向けて
政府そして国民は何をすべきか

出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]
【第95回】 2013年9月10日
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 2020年の第32回夏季オリンピック・パラリンピックの開催地として、東京が選ばれた。久々の大型の明るいニュースであり、関係者の努力に敬意を表するとともに、市民の1人として率直に喜びたい。

 これまで、複数回、夏季オリンピックを開催した都市は、アテネ(1896年、2004年)、パリ(1900年、1924年)、ロンドン(1908年、1948年、2012年)、ロサンゼルス(1932年、1984年)のわずか4都市しかなく、東京は5都市目の栄誉を手にしたことになる。また複数回、夏季大会を開催した国は、上記に加えて、ドイツとオーストラリアを数えるのみである(冬季大会を含めて考えれば、スイス、ノルウェー、イタリア、オーストリア、カナダが加わることになる)。わが国の総合的な国力が正当に評価された1つの証左であろう。

 それに、わが国は例えば、人口一人当たりのメダル数で言えば、実はアメリカ並みのスポーツ大国でもあるのだ。ともあれ、2020年の開催まであと7年、この間に何をなすべきか、せっかくの好機を活かすべく、みんなで知恵を絞ってみようではないか。

世界中から人が集まること自体に意義がある

 オリンピックが東京に決定したことで、早くも皮算用がなされている。都などの試算では、13~20年の7年間で国内経済にもたらす直接の経済波及効果は約3兆円、約15万人の雇用が創出される、という。また民間では、今後7年間に観光産業が倍増すると想定し、約95兆円の経済効果を見込む向きもある。これに安倍政権の国土強靭化計画の約59兆円を含めて、総額では約150兆円規模になるとする(日本経済新聞Web刊)。

 しかし、オリンピックの意義は、経済効果だけではない。世界中から多くの人が集まること自体に最大の意義があるのだと考える。世界中の人に、わが国のありのままの姿をよく見てもらって、日本のファンになってもらうことこそが、長期的に見れば最も国益に資するのではないか。

 何もよそ行きの顔を見てもらう必要はない。多様性に満ちた東京の素顔を見てもらうことが大切だ。要するに、オリンピックは、わが国のソフトパワーを世界に直接発信する絶好の機会なのだ。「安全、安心」や「コンパクト」、「効率性」はもとより、プレゼンテーターの滝川クリステルさんが述べた「おもてなし」の心を全開にさせ、世界中の人に、東京や日本を好きになって帰ってもらいたいものだ。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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