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伊藤元重の新・日本経済「創造的破壊」論

羽田と成田の空港機能強化こそが
東京五輪を経済再生につなげる最大のカギ!

伊藤元重 [東京大学大学院経済学研究科教授]
【第27回】 2013年9月24日
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ハブ空港としての羽田の魅力

前回、オリンピック開催に向けて、羽田空港の活用を拡大させることの意義について触れた。今回はこの点についてもう少し詳しく論じてみたい。国際空港としての羽田空港の利用拡大が日本経済の活性化にとって大きなカギになると考えるからだ。また、それを実現するうえでオリンピック開催は絶好のチャンスである。

 羽田空港は成田空港に比べていくつか優れている特徴がある。第一に都心への距離が短いということだ。単純な距離だけでなく、複数の鉄道網が利用可能であること、横浜など他の近隣都市も含めて高速道路のネットワークが充実していることも優れた点としてあげられる。

 要するに、羽田空港を起点として首都圏の多くの場所に移動可能であるということだ。世界主要都市の空港を見ても、羽田空港ほど都心部に近いところに位置している空港は少ない。その特徴をフルに生かすことができれば、東京の国際都市としての魅力は向上するはずだ。

 羽田空港の第二の特徴は、24時間利用可能であるということだ。国際線の空港として、この点は非常に重要である。深夜から早朝にかけての発着ができない成田空港が、使い勝手の悪い空港であることは多くの人が指摘するところである。

 そしてオリンピックとの関係で最も重要な点は、羽田空港が国内線の強力なハブであるということだ。オリンピックは、一回限りの東京への観光客の誘致に終わってはいけない。開催をきっかけに、その前も後も、さまざまなかたちで海外の人が日本に来るようになることが期待される。そしてその人たちには、東京だけでなく、日本の他の地域も訪れてほしいものだ。

 海外から来た人が成田経由で日本の地方都市に行くことを考えてみよう。成田空港からも一部の国内路線は飛んでいるが、一般的に成田経由で地方に行くのは簡単ではない。多くの人は、羽田空港まで移動してそこから国内線に乗り換えることになる。あるいは東京駅まで移動して、そこで新幹線に乗り換えることになる。

 これが海外から羽田空港に到着するケースだと、もっと簡単な乗り換えになる。羽田が国内線の強力なハブであるため、国際線との接続という意味でも非常に便利な存在なのだ。

 東京以外の地方にとって、海外との距離を縮めるカギは羽田空港の国際線利用の拡大にあると言っても過言ではない。もちろん、地方空港と海外の空港を直接結ぶ路線を増やすという方法はある。ただ、現実問題として、利用者の少ない内外のローカル空港同士を結ぶ路線を維持するのは簡単ではない。羽田空港のようなハブ空港を活用するのが現実的な方法だろう。

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伊藤元重 [東京大学大学院経済学研究科教授]

いとう もとしげ/1951年静岡県生まれ。東京大学大学院経済学研究科教授。安倍政権の経済財政諮問会議議員。経済学博士。専門は国際経済学、ミクロ経済学。ビジネスの現場を歩き、生きた経済を理論的観点も踏まえて分析する「ウォーキング・エコノミスト」として知られる。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」コメンテーターなどメディアでも活躍中。著書に最新刊『日本経済を創造的に破壊せよ!』(ダイヤモンド社)等多数がある。


伊藤元重の新・日本経済「創造的破壊」論

「アベノミクス」によって大きく動き始めた日本経済。いまだ期待が先行するなか、真に実体経済を回復するためになすべき「創造」と「破壊」とは? 安倍政権の経済財政諮問会議議員を務める著者が、日本経済の進むべき道を明快に説く! 

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