「えっ、もう次期スカイライナー?」京成が挑む「成田空港アクセス改革」の“3つの切り札”とはPhoto:PIXTA

京成電鉄は5月21日、2025年度から2027年度の中期経営計画「D2プラン」を策定したと発表した。これは2022年度から2030年度までの長期経営計画「Dプラン」の第二段階に位置付けられたもので、「空港アクセス強化の推進」と「外部環境変化への体制強化」を通じた体質変革を目標に掲げている。空港アクセス強化で注目すべきは「次期スカイライナーの検討」「新型有料特急の導入」「成田空港周辺の単線区間の複線化」の3つだ。それぞれについて解説する。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

業績好調の京成電鉄にとって
成田アクセスは生命線

 インバウンド6000万人時代に向けた京成の戦略について、まず経営の現状から振り返ろう。

 同日に発表した2024年度決算では、営業収益が対前年比7.7%増の3193億円、営業利益は同42.7%増の360億円、経常利益は同19.7%増の617億円の大幅な増収増益だった。

 業績を押し上げたのは運輸業だ。営業収益は179億円の増収、営業利益は89億円の増益で、そのほとんどを占めている。さらに内訳を見ると、成田空港発着の旅客運輸収入が同27.4%増の302億円、特急スカイライナーを含む有料特急が同30.3%増の93億円で、成田空港輸送が後押ししていることが分かる。

 同社にとって成田アクセスは生命線だ。成田空港利用者は上野・日暮里から成田空港まで全区間を乗り通す乗客がほとんどで、スカイライナーの特急料金収入もあるため単価が高い。

 輸送人員に占める成田空港利用者の割合は、コロナ前の2018年度が7.7%だったが、2023年度にこれを上回る8%を記録すると、2024年度は9.3%に達した。旅客運輸収入に占める割合は、2018年度が35.1%だったが、2023年度は36.4%、2024年度は40.4%となっている。