コーラなどの炭酸飲料水に入っている糖で、高フルクトース・コーンシロップ=異性化糖(別名「ぶどう糖果糖液糖」「果糖ぶどう糖液糖」)とよばれる天然甘味料をご存知ですか。「天然」と聞くと体によさそうなイメージがわきますが、肥満や糖尿病などの原因として私たちの健康を脅かす存在として、アメリカでは使用禁止運動が広まっています。その結果、高フルクトース・コーンシロップの代わりに、カロリーゼロを売りにした人工甘味料の消費が増えているのですが、今では、どちらも肥満の原因と考えられている、という皮肉な話です。
しかも日本ではそうした最新事情が広まらないまま、高フルクトース・コーンシロップの消費は増えているから要注意です。自覚しないまま生活習慣病のリスクが上がってはいませんか。

1970年代以降は高フルクトース・コーンシロップの消費が激増

 まず、高フルクトース・コーンシロップとは、何でしょうか。

 「そんな糖聞いたことがない」という方はぜひ、市販の飲料やしょうゆ、ヨーグルトなどの原材料を見てみてください。その多くで「異性化糖」や「果糖ぶどう糖液糖」といった名称が見つかるのではないでしょうか。それが、高フルクトース・コーンシロップの別名なのです。

 高フルクトース・コーンシロップ(異性化糖)は、含まれる果糖の割合で分類され、「ぶどう糖果糖液糖」は糖のうちの果糖の割合が 50%未満のもの、「果糖ぶどう糖液糖」は果糖の割合が50%以上90%未満のもの、を意味します。例えば、日本で市販される清涼飲料水には12%程度の高フルクトース・コーンシロップが含まれ、500ml飲んだ場合、60gを摂取することになります。

 高フルクトース・コーンシロップは、ぶどう糖と果糖の混合液で、トウモロコシなどのでん粉を酵素処理し生産されます。名称からも「果糖」を多く含むこと、トウモロコシが原料であることが伺えますね。実は、もともとは日本で開発されたものなのです。それが1970年代に米国に導入されると、米国における砂糖の使用、ひいては食文化そのものに歴史的な変化をもたらしました。

 というのも米国では、供給地であるキューバでの革命以降、砂糖が不足していました。そこで、高フルクトース・コーンシロップを砂糖の代わりとすべく、米国政府は農家に膨大な助成金を扶助してトウモロコシの生産を後押ししました。最近では遺伝子組み換え技術によって、トウモロコシはさらに安く、大量に生産できるようになっています。

 高フルクトース・コーンシロップは、アメリカでの食文化を大きく変化させました。現在では、炭酸飲料、果実飲料、スポーツドリンク、シリアル、ジャム、パン、ヨーグルト、ケチャップなど、米国人が普通に食べるあらゆる食品に使われています。