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三菱重工が風力合弁で狙う
欧州市場参入の“チケット”

週刊ダイヤモンド編集部
2013年10月23日
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共同会見に臨んだ三菱重工業の和仁正文常務(右)とヴェスタスのマリカ・フレデリクソンCFO
Photo by Takahisa Suzuki

 洋上風車の実績とノウハウ、欧州拠点が欲しかった三菱重工業と、経営危機で資本が欲しかったデンマークの風力発電機メーカー、ヴェスタス。1年以上にわたって続いてきた提携交渉の着地点は、合弁会社の設立となった。

 両社は2014年3月末までに合弁会社を設立することで合意、互いの洋上風車の事業を切り出し、開発設計から製造、販売、アフターサービスまでを網羅する、洋上風車の専業会社をつくる。世界の中でも高成長が見込まれる欧州市場をメインターゲットと想定しているという。

 三菱重工は1億ユーロ(約130億円)の資金と、「油圧ドライブシステム」と呼ばれる開発中の洋上風車技術を合弁会社へ持ち込む。また、合弁会社の事業の進捗状況に応じて、追加で2億ユーロを投入予定だ。一方、ヴェスタスは開発中の大型洋上風車(8メガワット)に加えて、販売中である洋上風車(3メガワット)とアフターサービスの既存契約を切り出す。

 再生可能エネルギーの本命、風力発電は現在、主戦場を陸上から海上へシフトさせつつある。強い風が安定的に吹き、騒音問題がないために風車の巨大化がしやすい洋上風力発電は、高効率な発電が期待できるからだ。英国やドイツ、北欧諸国などですでに巨大プロジェクトが動きだしている。

陸上風車は過当競争に

 風車メーカーとしても、今後の稼ぎどころは洋上風車だ。複数の風車メーカー幹部は、「陸上風車は中国やインドメーカーの乱立ですでにコモディティ化している」と指摘する。洋上風車への参入は、巨大な風車の製造に加え、「塩害対策や巨大船を使用した工事など、特別なノウハウが必要」(外資系風車メーカー幹部)で、過当競争が避けられるというわけだ。

 ところが、日本メーカーはその洋上風車どころか、陸上風車ですら世界市場での存在感がゼロに等しい。足場となる国内の風力発電市場が立ち上がっていないことがその原因であり、陸上風車は国土が狭く山が多いために建設が難しく、洋上風車は「漁業権の問題が立ちふさがっている」(経済産業省幹部)。

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