関西国際空港と大阪(伊丹)空港を合わせて8000億~1兆円、愛知県の運営する有料道路1000億円超、さらに仙台空港数十億円──。この1年前後で国や地方自治体が運営権を民間に売却する可能性の高い公共インフラだ。

マッコーリーが羽田空港ビルの運営に触手を伸ばした際には大騒ぎに。今回は外資の壁を打ち破ることができるのか
Photo by Ryosuke Shimizu

 前田建設工業とオーストラリアの投資銀行、マッコーリー・グループがメガソーラー(大規模太陽光発電)や風力発電で提携、年内に折半出資で新会社を設立する。提携は再生可能エネルギー分野にとどまらず、公共インフラの運営権取得を目指す方針だ。

 欧米では、空港や有料道路、水道事業などで民間業者が運営をし、効率的な運営で価値を高めるという事業スキームはすっかり市民権を得ている。PFIやPPPと呼ばれる手法がそれだ。

 日本でも、これまで膨らんではしぼんできたPFI、PPPの拡大への機運が再び高まりつつある。安倍政権が財政再建をしつつ、インフラの維持や補修などを行うために民間資金を活用することを打ち出し始めたのだ。

 マッコーリーは、欧米では名の知れたPFI、PPPの担い手だが、日本では外資への抵抗が大きく、苦戦していた。

 TOYO TIRES ターンパイク(旧箱根ターンパイク)や伊吹山ロープウェイなどの再建に関わったが、空港や高速道路などの“大物”にはありつけていない。2007年には、羽田空港ビルの運営会社・日本空港ビルデングの株式を大量取得しただけで、国土交通省は大騒ぎとなったほどだ。

 今回、前田建設と組むのは、外資アレルギーをかわすことができると踏んでいるからだ。