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石川和男の霞が関政策総研

消費者利益や新規参入増加など“絵に描いた餅”
電力システム“改悪”を倣う「ガスシステム改革」

石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]
【第9回】 2013年12月2日
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需要家の選択肢拡大と
競争強化が改革の柱

 本年11月13日、「電力システム改革」を進めるための改正電気事業法が成立した。大手電力10社が供給を独占している体制を、約60年ぶりに崩しながら競争を促す、というのが経済産業省の触れ込みだ。

 電力システム改革では、「安定供給の確保」「電気料金の最大限の抑制」「需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大」を3大目的として掲げ、①2015年に『広域系統運用機関の設立』、②16年に『小売全面自由化』、③18~20年に『発送電分離』・『小売料金規制撤廃』と、3段階で制度変更を進めていく方針だ。今回成立した改正法は①に関することだけで、②と③は来年以降に順次、関連法案が国会に提出される予定だ。

 政府は先月から、「ガスシステム改革」の検討を始めたが、これは電力システム改革の拠り所となる、本年2月の経産省報告書の記述に端を発している。

 そこでは、『電力システム改革を貫く考え方は、同じエネルギー供給システムであるガス事業においても整合的であるべきであり、小売全面自由化、ネットワークへのオープンアクセス、ネットワーク利用の中立性確保、エネルギーサービスの相互参入を可能とする市場の活性化、広域ネットワークの整備などの、ガス市場における競争環境の整備が必要」と書かれている。

 この時すでに、電力システム改革の次の政策ダマとして「ガスシステム改革」をぶち上げていたわけだ。

 そして本年5月、「今後、ガスの卸市場及び小売市場における、需要家の選択肢拡大と競争活性化に資する制度面の取組に関する検討」と「競争を可能とするインフラ整備に関する検討」を進めていくとの方向性が打ち出された。

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石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]

1989年3月東京大学工学部卒業。同年4月通商産業省(現経済産業省)入省。資源エネルギー庁、生活産業局、環境立地局、産業政策局、中小企業庁、商務情報政策局、大臣官房等を歴任。2007年3月経済産業省退官。08年4月東京女子医科大学特任教授(~10年3月)。09年1月政策研究大学院大学客員教授。09年4月東京財団上席研究員。11年9月NPO法人社会保障経済研究所代表。ツイッター:@kazuo_ishikawa ニコ生公式チャンネル『霞が関政策総研』、ブログ『霞が関政策総研ブログ』


石川和男の霞が関政策総研

経済産業省の元官僚として政策立案の現場に実際に関わってきた経験と知識を基に、社会保障、エネルギー、公的金融、行政改革、リテール金融など、日本が抱えるさまざまな政策課題について、独自の視点で提言を行なっていく。

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