読書は技術である。読んだ本の内容を確実に自分のものにするためには、ただ漫然と読み進めるだけでは不十分だ。血肉化するための技術を、シリーズ累計50万部突破の『100円ノート整理術』から5つ取り上げ紹介する。
これまでは、読書ノートをつくる意義について、お話ししてきました。今回はいよいよ、具体的にどのように読書ノートをつくればいいのか、僕の手法を詳しく紹介します。
【技術1】読書ノートを前提に本をさばく
効率よく読書ノートをつくるためには、読みながら下準備を進めておかなければなりません。読み終わったあと、「あのいい言葉はどのページだったっけ?」と探すのは二度手間です。
いざ読書ノートをつくろうと思ったとき、何のチェックもしていない本だと、作業が面倒に感じてしまいます。だから、読んでいる段階から下準備として簡単にマーキング(印付け)をしておきます。
本へのマーキングは、さまざまな方法があります。ただ、読み進めながらマーカーで線を引いたり、3色ボールペンで印を付けたりと、いっぺんにやるのは、現実的には難しいと思います。ペンを取り出したりすると、本に対する集中が中断されてしまうからです。それに、特定のペンがないと、いつものように本が読めないのであれば、「いつでもどこでも楽しめる」という読書の醍醐味が失われます。
では、どうすればいいのでしょうか。僕が提案したいのは、次のように、最重要箇所を段階的に洗い出していく「スクリーニング作業」のような読み進め方です。通常は、次のような工程を踏みます。
(1)通読
普通に読みながら「いいな」と思ったところはページの上の角を折っておく。
(2)再読
読了したら、角を折ってあるページだけを読み返していく。その際、「あらためて、いいな」と思ったところだけ、ページの下の角を折っておく。
(3)マーキング
上下の角が折られたページだけを読み返し、「3度目だが、やはりいいな」と思ったところだけ、ペンで印を付けておく。
読書ノートをつくるのに使うのは、この(3)でマーキングされた文章のうち、さらに読み返しても「いいな」と思う文章だけです。
このように段階的に選抜していくと、本がアンダーラインだらけになって、一体どこが一番よかったのかわからないという事態にはなりません。もし、しばらくしてから「あの素晴らしい文章はどこにあったっけ?」と思ったときも、まずマーキングしてある文章を見ていき、そこになかったら「上下の角が折ってあるページ」、それでも見つからなければ「上の角だけが折ってあるページ」と捜索範囲を広げていけばいいわけです。
ちょっと問題なのは、あるページの上の角を折って、その裏に続いているページも「いい」と思ったとき、折る角がないことです。この場合、僕は、下の角を折ることにしていますが、そうすると今度は再読のときに折る角がなくなって……。
まあ、たとえこのせいで重要なページをマーキングすることができなかったとしても「縁がなかったな」と考えるくらいの方が精神衛生上いいと思っています。