国立競技場はNTTドコモ、福岡空港は西鉄…公共施設を民間が運営する「コンセッション事業」の“旨み”写真はイメージです Photo:PIXTA
*本記事はきんざいOnlineからの転載です。

老朽化で設備更新が急務のスタジアム・アリーナ事業

 本稿では、スタジアム・アリーナ、水道(上水道)、空港の3分野について、PFI(民間資金による社会資本整備)含め官民連携が必要とされる背景および事業手法を紹介したい。これらは、民間側が需要変動リスクを受容する点で、従来の「サービス購入型」のPFIと異なる、コンセッション方式(注)が採用されるケースも見受けられる。本稿では各分野において、民間側が需要リスクを負うコンセッション方式が採用された案件(図表)を題材に、収支構造やポイントを概説する。

 国内のスタジアムやアリーナにはバブル期までに整備されたものが多く、老朽化に伴う設備の更新が必要となっている。他方で、設備の保有・運営主体である各自治体は、財政状況悪化等の課題に直面している。そこで効果的・効率的に設備を維持・更新するために、民間のノウハウが求められている。

 事業手法としては、BTO(Build-Transfer-Operate)方式のPFIのほか、指定管理者制度等を活用した事例が見受けられる。近年では、運営の自由度を確保することにより民間のノウハウを最大限活用すべく、コンセッション方式活用の期待が高まっている。