
米国企業のトップがコスト削減に乗り出した。
二転三転するドナルド・トランプ米大統領の貿易攻勢は予測不可能で、企業はほぼ全ての面で身動きが取れない。例外はコスト削減だ。化学大手ダウは新工場の建設を延期する。医療機器メーカーのボストン・サイエンティフィックは出張を含む裁量的支出を削減する取り組みを加速させている。
貨物鉄道会社のノーフォーク・サザンは、これまで以上に厳しくコンサルタント料を精査している。
日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)のアンドレ・シュルテン最高財務責任者(CFO)は、「自社のコスト構造の中で関税の影響を軽減するため、われわれが持つあらゆる手段を講じなければならないだろう」と述べた。
大規模なレイオフを発表した企業は今のところ、ほとんどない。しかし企業は調整に動いており、労働者はそれに気付き始めている。企業は採用を抑制し、欠員を埋めず、コンサルタントや下請け業者にかかる費用を精査している。
多くの経営幹部は最近行った決算発表の電話会見で、「平安の祈り」の企業版ともいえる表現を使ってコスト削減策を説明した。
「コントロールできるものをコントロールし、そうでないものについては一部で影響を緩和できるよう努める」。ノーフォーク・サザンのマーク・ジョージ最高経営責任者(CEO)は燃料費や労務費などの削減計画に言及した際、そう述べた。

PHOTO: STEPHANIE AARONSON/WSJ