長らくグレーゾーンながらも認められてきたと思われた委託型募集人。ところが年末、金融庁は豹変し、保険業法違反だと断じた。1月には保険会社に対して報告徴求命令を出し、実態把握に乗り出す。

 昨年12月25日、世間がクリスマス気分に浮かれる中、保険業界にとっては、悪夢のような“クリスマスプレゼント”が金融庁から贈られた。

 この日午前、生命保険協会の幹部が当局に呼び出されたのをはじめ、午後には損害保険協会、日本損害保険代理業協会、外国損害保険協会の業界3団体に加え、大手保険代理店で構成される保険代理店協議会の幹部たちが、金融庁に相次いで足を運んだ。そこで驚きの通告を受けたのだ。

「1月中には、保険業法128条に基づく報告徴求命令を出しますので」──。

 まさに青天のへきれきだった。詳細は後述するが、長らくグレーゾーンでありながらも、事実上認められてきた「委託型募集人(委任型募集人ともいう)」に関して、保険業界を震撼させた保険金不払い問題以降初めてとなる、報告徴求命令を出すことが最後通告されたのだ。

 実は業界は当局が厳しい姿勢で臨むことを想定はしていたが、「ここまで厳しい判断を下すとは想定外だった」(生保協会幹部)と、驚きを隠さない。

 これが業界に大混乱を引き起こしていることは想像に難くない。当局は、委託型募集人が保険業法違反であることを“明言”したことで、保険会社だけでなく急拡大してきた保険ショップに代表される乗り合い代理店をはじめ、損保代理店のあり方を抜本的に見直さなければならなくなるからだ。

 各社は年の瀬が押し迫る中で、当局対応の資料作りに追われた。そして、実態を報告した後、一定期間を経ても業法違反の状況であれば、保険会社はただでは済まされまい。