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新興国ショックで激震走る世界金融市場の意外な脆さ
大規模なリスクオフのうねりは本当にやって来るか?

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第312回】 2014年2月4日
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アルゼンチンペソの急落で大荒れに
新興国ショックに揺れる世界の金融市場

 足もとで、アルゼンチンの通貨(ペソ)の急落に端を発した新興国通貨の下落によって、世界の金融市場が大荒れの状況になっている。その背景には、新興国通貨の下落が世界の株式や為替の市場に波及するとの懸念から、投資家の多くがリスクオフ(リスクの高い金融資産を売却して、保有するリスク量を減らすオペレーション)を行っていることがある。

 株式や為替などの金融資産の価格変動率(ボラティリティ)が上昇すると、投資家は同じ金額の金融資産の保有を続けていても、自動的にリスク量が上昇することになる。そうなると大手投資家は保有するリスク量を減らすため、株式や為替などの持ち高を減らさざるを得ない。つまり、保有する株式などを売却することになる。

 その結果として金融市場が不安定化し、それが保有持ち高のさらなる縮小(株式などの売却)へとつながる。それは“負の連鎖”だ。今回はアルゼンチンペソの急落が引き金となり、わが国をはじめ世界の主要な株式や為替市場が一斉に不安定な動きになってしまった。

 連鎖の発端となったアルゼンチンの経済規模は小さく、アルゼンチンだけであれば大きな問題に発展する可能性は低いのだが、トルコや南アフリカなどの新興国の通貨へと飛び火し、それが欧米やわが国など先進国の金融市場にまで波及した。

 世界の金融市場は相互に依存度が高く、一旦どこかで何らかの異変があると、それが驚くほど迅速に共鳴し合う性質を持っている。ある意味では、市場とは変動しやすく、脆い仕組みと言えるだろう。

 新興国は基本的に工業化のプロセスに入って期間が浅いため、資本の蓄積が進んでいないケースが多い。そのため、社会のインフラ投資などを海外からの投資資金の流入で賄うことが多い。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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