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ドラクエアプリの返金騒動からわかった
家庭用人気ゲームとガチャビジネスの相性の悪さ

石島照代 [ジャーナリスト],小山友介 [芝浦工業大学システム理工学部教授]
【第48回】 2014年2月12日
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 このように、ユーザーのタイプもゲームトレンドとともに変化している。アイテム課金システムが組み込まれた基本無料で遊べるゲームサービスを提供する企業側も、いつまでも重課金を喜ぶユーザーばかりがいるわけではないことがわからないと、第二、第三の返金騒ぎが発生するだけであろう。

顔色をうかがうべきは
消費者庁にあらず

 今回のドラクエ返金騒ぎが発生した際、筆者(石島)に「ドラクエだけに消費者庁が動き出すのを懸念している、だから書かないでねって言っても遅いんだろうけど」というような趣旨のご連絡を頂戴した。2012年に発生した消費者庁によるコンプガチャ規制では、ある有名企業の社長からも直々に「あんたのせいでこんなことが起きた。まあ、書かれてもしょうがないけどね」と冗談交じりに言われたことを懐かしく思い出す。

 だが、今回の件は消費者庁関係者も即答を避けたことからもわかるとおり、従来の商慣習などに鑑みると、法的な解釈にはなお精査が必要であるため、ユーザーサイドも安易な返金要求は控えた方がいいだろう。

 だからといって、メーカーサイドも「法に触れていなければ問題がない」という態度では、法的根拠以上に客からの信頼を失うだけである。つまり、今回のケースで言えば「そもそもどんなくじが入っているかわかるような箱のイラストを描かなければいい」という、対症療法的な対応は騒ぎを大きくするだけだ。

 法に触れないようにすることは当然であるが、それ以上にまずは、お客が払ってくれた金額に応じたサービスを心がけることが、このような返金騒ぎを起こさずにすむ最善の方法なのではないか。そして、それがビジネスの継続性を保証することは、筆者ら(小山、石島)も本連載でさんざん伝えてきたつもりである。

 顔色を伺うべきは消費者庁でも筆者らでもない、あなた方にお金を払ってくださる大切なお客様である。あなた方の大切なお客様は、お金を払ったあとにいつも、「楽しかった、また遊びたい」と言ってくださっているか。お客様の顔色を想像してみてはどうだろうか。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

小山友介
[芝浦工業大学システム理工学部教授]

1973年生まれ。芝浦工業大学システム理工学部教授。2002年京都大学大学院博士課程修了。博士(経済学)。東京工業大学助教等を経て現職。東工大時代に経済シミュレーション研究に従事、そこで学んだコンピュータサイエンスの知識を生かしてゲーム産業研究を行なう。専門はゲーム産業を中心としたコンテンツ産業論と社会情報学。2016年6月末に『日本デジタルゲーム産業史』 (人文書院)を刊行。

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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