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消費税増税で「17年前の悪夢」は再来しないか?
足もとで感じる“意外に冷静な国民感情”の裏を読む

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第321回】 2014年4月8日
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「財政危機」を刷り込まれた影響も?
意外に冷静な消費税増税直後の世相

 4月1日から、消費税率が8%に引き上げられた。一部のスーパーマーケットなどでシステム上のトラブルが起きたようだが、消費税を徴収する側に特に大きな混乱はなかった。 

 一方、消費税を負担する側の消費者も、かなり以前から税率引き上げに対する意識が高まっていたこともあり、引き上げ前の計画的な買い出しなど、それなりの対応を行っていたように見える。冷静に4月を迎えたというのが実態だろう。

 その背景には、国民の間で「消費税率の引き上げは止むを得ない」との意識があるように見られる。わが国の財政状況の悪化が深刻化していることが、国民の理解と寛容さを醸成した大きな要素だろう。

 つまり、庶民の間にも「これ以上財政状況が悪化すると、大変なことになるかもしれない」という危機意識が高まっていると言える。その意味では、政府や財政当局の広報活動が奏功したとも言える。

 ただ、問題はこれで終わりではない。わが国の財政悪化の問題は、今回の税率引き上げだけによって解消されるわけではないからだ。「今年7-9月期の景気の状況を見て」という条件は付くものの、来年10月から税率はさらに2%引き上げられて、
10%になる予定だ。

 わずか1年6ヵ月の間に、消費税率が5%から10%へと2倍に引き上げられることになる。果たして、わが国の民間企業、特に中小企業がその負担に耐えられるか否か。経済専門家の間でも、その点に疑問符をつける声がある。

 今回の税率引き上げを乗り切っても、本当の勝負は来年10月以降になるかもしれない。それまでに、わが国の企業が十分な収益力を身に付けることができるかどうかが重要になる。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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