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「引きこもり」するオトナたち

高齢化する引きこもり親子の行く末か
45歳息子が80歳母親と無理心中の背景

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第193回】

 「他人事とは、とても思えない」

 こう悲痛に訴えるのは、15年ほどにわたる引きこもり生活を送ってきたAさん(45歳)。

 「結果的に母親殺害という結果になってしまった息子さんの気持ちを思うと、気の毒過ぎます」

現実から逃げ出したかった?
無理心中を図るも母親だけが死亡

 Aさんが指摘しているのは、都営アパートの一室で木炭を燃やし、80歳の母親を一酸化中毒で殺害したとして、4月5日、東京都墨田区に住む45歳無職の次男が逮捕された事件。この次男は、警察の調べに対して「無理心中しようとしたが、自分は外に出て死にきれなかった」と供述しているという。

 Aさんは、こう顔を曇らせる。

 「報道ではわからなかったけど、母親が80歳っていうことは、すでに介護が必要だったということも考えられます。息子さんは、自分と同い年の45歳。身体のいろいろなところが悪くなってくる。母親も老いてきて、世の中とのつながりが何もなかったとしたら、そりゃ、将来を悲観したくもなります。この現実から逃げ出したくて、一緒に死のうとしたのではないでしょうか」

 実際、翌6日付の東京新聞によれば、容疑者の次男は、50歳代の会社員の兄とも同居していたが、事件当時、仕事のために外出中で、次男は兄とともに母親の介護をしていた。しかも、今年に入り、同様の方法で2度にわたり、「心中を試みた」と話しているという。

 「年がら年中、年老いた母親と一緒に家にいたら、おかしくもなります」

 そう自らの状況と重ね合わせるAさんも、ずっと母親と2人暮らしを続けてきた。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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