かねてから経営統合が囁かれていた新生銀行(以下、新生銀)とあおぞら銀行(以下、あおぞら銀)が、ついに「合併に向けて合意した」旨を発表した。両行の7月1日付けプレスリリースによると、2010年に予定される両行株主総会の承認と関係当局の認可を前提として、両行が統合契約に調印したという。

 昨年秋以降の金融危機で経営難に拍車がかかり、窮地に陥った両行にとって、今回の合併は生き残りをかけた最後の策ともいえる。果たして、新銀行は窮地から抜け出し、復活することができるのだろうか。

共通点のある両行の合併

 今回の合併の是非を検討する前に、両行のこれまでの経緯を簡単に振り返っておこう。両行は非常に似ている側面を持っている。

 新生銀は旧日本長期信用銀行、あおぞら銀は旧日本債券信用銀行と、共に長期信用銀行が前身となって誕生した。前身の両行とも多額の不良債権を抱えて98年に経営破綻し、一時国有化、その後外資系ファンドに買収されて、新生銀・あおぞら銀に姿を変える。どちらも瑕疵担保条項を活用し、優良な債権だけが残り、資産的に健全になったが、それは再上場するまでしか続かなかった。上場後は、海外や国内ノンバンクへの投資が必ずしも順調とはいえず、金融危機によってより厳しい状況に拍車がかかり、金融庁に提出した経営健全化計画で掲げた収益目標が大幅に未達成になっていた。そんな両行がまさに生き残りをかけて、この合併に至ったのだ。

「合併比率発表時期」と「社長の人選」
からみえる合併の裏側

 今回の合併に際して、珍しい点が2つ見受けられる。

 1点目は、7月1日付けのリリースの中で、今後の日程等に関しては、(予定)と記載しながら、合併比率については、1:1と対等比率であることが「決定」されていることだ。合併比率をどうするかは、各社の株主にとって非常に重要であるため、正式な合併契約締結まで、デューデリジェンス(買収・売却の対象となる企業や事業の価値を、収益性やリスクの面から詳細に審査すること)をした上でその後の各社の収益状況や企業価値の推移を見極めるというプロセスをとるのが通常だ。