女性の社会進出銘柄に集中した
「なでしこ」投信とは何ぞや?

 始めに、本稿は実名で登場する金融機関・運用会社を特別に取り上げて批判することを意図したものではないことを、お断りしておく。

 さて、4月27日の『日本経済新聞』に「三井住友銀、「なでしこ」投信販売 働く女性に対応」という見出しの記事が載った(電子版URLはこちらを参照)。

 読者は、“「なでしこ」投信”が何を意味するか、具体的にイメージできるだろうか。日本代表チームが愛称「なでしこジャパン」で有名になった、女子サッカー選手達の姿が目に浮かぶくらいが関の山ではないかと推察するが、いかがだろうか。

 記事本文によると、5月に「女性の社会進出によって成長する企業の株を集中して組み入れた投資信託」を三井住友アセットマネジメント社が設定し、三井住友銀行がこれを売り出す、ということらしい。

 一体どのような銘柄なのだろうか。記事は「投資銘柄は100~150程度となる見込みで、保育施設運営大手のJPホールディングスや資生堂などが候補になるという」という。

 女性向けの商品やサービスを提供している会社なので、女性にはなじみ深いかもしれないが、女性を相手に大いに儲けている会社でもあるので、考えようによっては違和感がある。

 他方、経産省と東京証券取引所は、今年のひな祭りの3月3日に、「なでしこ銘柄」を26銘柄選定して発表した。こちらは、女性の登用を中心に選ばれているようだが、女性の社外取締役と執行役専務を1人ずつ登用しているLIXILグループなどが新顔として選ばれた。2年連続で選ばれた銘柄をピックアップすると、旭硝子、KDDI、住友金属鉱山、東レ、東京急行電鉄、日産自動車など有名大企業が並んでいる。福利厚生に余力のありそうな会社群だが、どこがどう「なでしこ」なのかはピンと来ない。