韓国のフェリー船、セウォル号の沈没事故は、我々日本人の胸にも深く刺さった。管理体制の杜撰さ、乗客の適切な避難誘導を行わずに自らの身を守ることを優先した乗組員の責任感のなさなど、後から後から信じられない事実が露見している。こうした報道を見て、韓国社会の歪みを指摘する声が噴出している。とはいえ、メディアはどれだけ彼らの実像を正しく伝えているだろうか。事故報道でとりわけクローズアップされた韓国社会の「3つの素顔」を深く検証しながら、かの国が抱える課題に迫りたい。(プレスラボ)

大量の死者を出し社会問題に発展
フェリー転覆事故の信じられない杜撰

 400人以上が乗った観光船が沈没――。

 韓国のフェリー船、セウォル号の沈没事故は、現在までに死者200名以上を出す大惨事となった。4月16日の事故発生から間もなく1ヵ月が経つにもかかわらず、事態の収拾には至っていない。

 隣国の事故が日本でもこれだけ注目されている理由は、様々な課題を抱える韓国社会の「素顔」が、報道を通じて浮き彫りにされたからである。

 事故発生直後から、情報は錯綜し続ける。いったんは、修学旅行で乗船していた300人以上の生徒と教師はすべて救助されたというニュースも流れた。

 誤報だとわかった後は、船内に取り残された生徒から家族へ向けて、助けを求めたり別れと感謝を告げたりするメールが届いたとも報じられた。多くの人が心を揺さぶられたが、信じられないことに、これらのメールは全ていたずらだった。

 また、事故発生から時間が経つにつれて明らかになったのは、船内に生存者がいることではなく、死者の多さと管理体制の杜撰さ、乗組員が乗客に対して適切な誘導を行わずに、自分たちだけが逃げ出したことだった。逃げ出した船長は、当初一般の乗客だと名乗り、救助活動を全く手伝わなかったという。

 こうした責任感のまるでない船長をはじめ、逃げ出した乗組員たちは批判に晒され、15名が全員逮捕されるという異例の事態となった。驚かされたのは、それだけではない。信じれらない話が、後から後から出て来るのである。