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森信茂樹の目覚めよ!納税者

欧州で見てきた消費税軽減税率の現実
とても煩雑!テイクアウトと店内食の区別

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第71回】 2014年5月14日
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新聞報道によると、財務省は7日、軽減税率を飲食料品に導入した場合の減収額を8つのケースについて公表した。今後自民党・公明党の税制協議会で具体案を議論するという。軽減税率について筆者はこれまでたびたびこの欄でも取り上げてきた。政治論としての必要性はわからないでもないが、きわめて効率の悪い政策であることは、第34回第44回などで述べてきたので、重複は避ける。ここで取り上げたいのは、税務当局や事業者を悩ませている、ファストフード店などにおけるイートイン(レストランサービス)とテイクアウト(食料品扱い)の線引きの難しさという問題である。

価格表示の混乱

 筆者は今年3月、英国、ドイツ、フランスの3ヵ国を回り、消費税軽減税率の導入状況を見てきたが、ファストフード店でのテイクアウトとイートインの区分、価格表示は混乱している、というのが率直な印象だった。以下、写真を見ながらその問題を指摘したい。

 写真1は、英国のスターバックスの価格表示である。常に食品には2つの表示がなされている。

右下の上段がイートインの価格、下段がテイクアウトの価格。これが基本形

 上段が、イートインの場合の値段、下段が持ち帰りの場合の値段である。持ち帰りは、英国ではテイクアウェイというが、本稿ではテイクアウトということとする。テイクアウトとなれば、ゼロ税率となるがイートインでは20%の通常税率が課せられる。双方の値段の差額はその20%の消費税額である。これが基本である。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

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