ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
石川和男の霞が関政策総研

もっとも現実的な「原発ゴミの正しい処し方」

石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]
【第20回】 2014年5月19日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故以来、以前にも増して「脱原発」、「反原発」、「原発即刻ゼロ化」が強く叫ばれている。その理由の一つに、「原発から出る放射性廃棄物(核廃棄物)の行き場がない」という主張がある。いわゆる“原発ゴミ問題”のことだ。

 原発ゴミを棄てる場所(最終処分場)がないのだから、今すぐ全ての原発を廃止すべきだ――! こうした論調が、いわゆる“トイレなきマンション”説となって蔓延しているのだろう。

 確かに、最終処分場をどこにするのか、まだ決められていない。政府が最終処分場の選定をするための法制度を整備してから10年以上経過しているが、まだ見つかっていない。どの政策にも言えることだが、原子力政策についても、それに詳しい人よりも、それに詳しくない人の方が圧倒的に多い。だから、最終処分場が選定されていない現在、“原発即刻ゼロ化”の論調が広がってしまうのも無理からぬことかもしれない。

“原発即刻ゼロ化”の前に理解したい
「核燃料サイクル」に関わる用語

 ところで読者の皆さんは、“原発ゴミ問題”が論じられる時、「使用済燃料」と「高レベル放射性廃棄物」の違い、「再処理」と「直接処分」の違い、「中間貯蔵」と「最終処分」の違いを理解されているだろうか。更には、「核燃料サイクル」や「MOX燃料」の意味を理解されているだろうか。

 原子力発電事業のうち、原子燃料の製造や発電所の運転は「フロントエンド事業」、使用済燃料の再処理や放射性廃棄物の処分、原子炉の廃炉事業は「バックエンド事業」と呼ばれる。“原発ゴミ問題”は、「バックエンド事業」に関わるものだ。

 原子力発電に使用されるのは核燃料(ウラン)であるが、発電により使用されるのは全体の3~5%だけで、残りの95~97%は再利用できる核燃料(ウラン、プルトニウム)を含んだものだ。この残ったものが「使用済燃料」であり、それを「再処理」してウランとプルトニウムを採取する。この採取されたウランとプルトニウムを用いて「MOX燃料」と呼ばれる燃料に加工し、これを再び原発で使用する一連の工程を「核燃料サイクル」と呼んでいる。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]

1989年3月東京大学工学部卒業。同年4月通商産業省(現経済産業省)入省。資源エネルギー庁、生活産業局、環境立地局、産業政策局、中小企業庁、商務情報政策局、大臣官房等を歴任。2007年3月経済産業省退官。08年4月東京女子医科大学特任教授(~10年3月)。09年1月政策研究大学院大学客員教授。09年4月東京財団上席研究員。11年9月NPO法人社会保障経済研究所代表。ツイッター:@kazuo_ishikawa ニコ生公式チャンネル『霞が関政策総研』、ブログ『霞が関政策総研ブログ』


石川和男の霞が関政策総研

経済産業省の元官僚として政策立案の現場に実際に関わってきた経験と知識を基に、社会保障、エネルギー、公的金融、行政改革、リテール金融など、日本が抱えるさまざまな政策課題について、独自の視点で提言を行なっていく。

「石川和男の霞が関政策総研」

⇒バックナンバー一覧