国内市場では新築からリフォームへのシフトに成功し、中国では高級ブランドとしての地位を確立したTOTO。高収益体質をつくり上げた身の丈経営はどこまで通用するのか。

「企業に社長の“色”なんて必要ないでしょう」。4月1日に就任したTOTOの喜多村円社長は、就任記者会見で「どのような“喜多村色”を出していきたいか」という質問を一蹴し、「ものづくりの精神を脈々と受け継いでいくまでだ」と返してみせた。その言葉にはこれまで通り、ROA(総資産利益率)重視の経営を続ける意思が含まれていた。

 ROAは総資産からどれだけ利益を生み出したか、つまり資産効率を表す指標だ。TOTOは2013年度に過去最高となる9.9%をマークした。

 企業の収益力を判断する指標にはROAと並んでROE(自己資本利益率)がある。ROEは株主から投資された資本がどれだけ利益を生み出したかを示すもので、元手である自己資本が少なくても借り入れなどをてこにしてもうけを増やせば数値が高くなる。TOTOのROEは17.8%で、こちらも日本企業の中では抜群に高い。