ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
山崎元のマネー経済の歩き方

どちらがいいか、「モノ」と「カネ」

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第80回】 2009年5月12日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 政府は15兆円を超える史上最大規模の追加経済対策を発表した。併せて日本銀行が国債買い入れを増額することが重要だと思うが、今回の主題は景気や株価ではない。

 対策の細目を見ると、住宅取得に絡む贈与税の最大500万円軽減を筆頭に、ハイブリッド車購入の際に補助金が出るとか、省エネ対応の家電製品を買うと最大3万9000円相当のポイントが付与されるとか、特定の物を買う場合に公的なサポートを受けることができるという項目が多い。

 ある程度余裕のあるおカネ持ちにメリットが集中することを脇に置くとしても、自動車を買うよりも旅行をしたいとか、薄型テレビよりも本を買いたいといった消費になぜサポートがないのか理解に苦しむ。「環境」というなら、そもそも不要な自動車が走らないのがいちばんよい。テレビの買い替えを補助するよりも図書券でも配ったほうが、国民は賢くなるだろう。自動車、家電、テレビ局に負けないくらい出版社だって苦しい。

 売り手側の苦しさもさることながら、おカネの使途はできるだけ自分で決めたいと思う。

 教育予算に至っては、「学校ICT」と称する学校のIT化(電子黒板などを指す)に4000億円もの予算を取り、他方、教師の英語研修には10億円の予算を付けるという。教育の改善には、教師とカリキュラムの質・量両方の改良こそが必要なのではないか。百歩譲って、学校の校長が、たとえばネイティブスピーカーの英語教員を雇うよりも電子黒板が重要だと判断するなら、それでもいい。個々の学校が使途を判断するのではまずいのだろうか。

 2兆円の定額給付金があまりに不評だったせいか、今度の対策はおカネの使途や受給条件を政府が決める「お節介」なものが多い。

1
nextpage

今週の週刊ダイヤモンド

2017年3月4日号 定価710円(税込)

特集 文系こそ学べ 勝つための絶対スキル データ分析

統計分析 Excel入門 データに強くなる

【特集2】
コーヒービジネス大活況
サードウェーブの次に来る波

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購読いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


山崎元のマネー経済の歩き方

12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

「山崎元のマネー経済の歩き方」

⇒バックナンバー一覧