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起業のエクイティ・ファイナンス
【第4回】 2014年7月23日
著者・コラム紹介バックナンバー
磯崎哲也

ベンチャーの未来を潰す、
「エンジェルの持株比率取り過ぎ問題」

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『起業のエクイティ・ファイナンス』の出版を記念してお送りする本連載。今回は、「投資契約」の重要性について解説します。いま日本のシード期のベンチャーでしばしば「エンジェルやインキュベーターの持株比率取り過ぎ問題」が生じており、それを防ぐためにも投資契約の知識が重要になってきます。

なぜ投資契約を結ぶのか?

 現在の日本における設立間もないシードの段階の投資では、普通株式を発行して登記するという最低限のシンプルなことを行うだけで、投資契約までは締結しないというケースも多いと思います。実際、シード期のベンチャーは、法律やベンチャー・ファイナンスに関する知識も少ないことが多いので、弁護士や司法書士などの専門家に相談することもなく株式を発行してしまったりしますし、投資するエンジェルやアクセラレーターの側も、投資契約には無頓着だったりします。

 1990年代までの日本では、ベンチャーキャピタルが投資する場合ですら投資契約を締結することは稀で、締結してもB4用紙に1枚程度のものがほとんどでした。加えて、従来のベンチャーキャピタルの投資は主にIPOが見えてきたベンチャーに対するものが中心で、設立したばかりのシードやアーリーのベンチャーに積極的に投資をするようになったのは、まだここ10年程度のことです。

 このため、日本では現在でも「シード段階のベンチャーには、投資契約は不要じゃないか?」と考えている人も多いです。

 こうした歴史的経緯から、起業する側にも投資する側にも、シード段階の投資がどうあるべきか、ベンチャーとはどういったものなのか、といった共通イメージがまだ形成されていないことが多いので、投資契約を通してそのイメージを作るのが良いのではないかと考えました。

 また、そうしたシード段階の少額の投資は、受けたらそれで終わりではなく、次にベンチャーキャピタル等の投資家から、より大きな資金を調達し、その投資家がexitできる上場やM&A等も目指さないといけません。しかし、ベンチャーというのは非常にリスクがあるものなので、思い描いていた理想的な道筋でものごとが進むとは限りません。

もしうまくいかなくなったときにどうするのかについて、起業家と投資家との間で、目指すところを明確に合意しておいたほうが、あとで金銭的、心情的なトラブルになりかけたときに、うまくいく可能性は高まるはずです。それがシード・アーリー期の投資契約の最大の役割の1つです。

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    磯崎哲也(いそざき・てつや) 

    1984年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。
    長銀総合研究所で、経営戦略・新規事業・システム等の経営コンサルタント、インターネット産業のアナリストとして勤務した後、1998年ベンチャービジネスの世界に入り、カブドットコム証券株式会社社外取締役、株式会社ミクシィ社外監査役、中央大学法科大学院兼任講師等を歴任。
    公認会計士、税理士、システム監査技術者。現在、Femto Growth Capital LLP ゼネラルパートナー。
    著書に『起業のファイナンス』(日本実業出版社)があるほか、ビジネスやファイナンスを中心とする人気ブログ及びメルマガ「isologue」を執筆。


    起業のエクイティ・ファイナンス

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