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石川和男の霞が関政策総研

電力10社や新電力への“天下り”は本当にダメなのか?
有為な人材が活用され難いルールは再考すべし

石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]
【第25回】 2014年7月28日
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“天下り”禁止は
やみくもな反対論ではないか

 今、“電力システム改革”と称される制度“改悪”が順次進められている。

 「安定供給の確保」、「電気料金の最大限の抑制」、「需要家の選択肢や事業者の事業機会拡大」のために、電力小売全面自由化、電気料金規制撤廃、既存10電力会社の発送電分離などが行われようとしている。

 その一環として標榜されているのが「広域系統運用の拡大」。このため、電源の広域的な活用に必要な送配電網の整備を進めるとともに、全国大で平常時・緊急時の需給調整機能を強化するための「広域的運営推進機関」を、2015年度を目途に設立する予定となっている。

 広域的運営推進機関の設立には経済産業大臣の認可が必要とされており、経済産業省では現在、設立認可に係る基準案の最終的な詰めが行われている。

 この基準案には同機関の役員人事に関するものがあるが、退任役員の再就職先について、既存電力10社や新電力に“天下り”することを禁止しようとしている。これに関しては、以前からあるやみくもな官僚天下り反対論に酷似した思想が貫かれているように思えてならない。

特定団体の利益を代表しない者とは?
具体的に中立性確保ができない行動とは?

 この基準案は先週までパブリックコメントにかけられていた。広域的運営推進機関が電力市場において真の機能を発揮するようこと、また、世界に恥ずかしくない機関になることが望まれるため、せっかくの機会なので私は意見を提出した。

 具体的には、広域的運営推進機関の設立認可に係る基準案の中にある「定款に記載されている内容について、業務の運営が公正かつ適正に行われることが確実であると認められることの基準」に関して、以下の2点だ。

*  *

(1)役員に関する事項の一つに、「ホ 理事長は、特定の電気事業者若しくは特定の電気事業者と密接な関係を有する事業者又は電気事業に関する特定の団体の利益を代表する立場の者でないものとする旨」とある。

 広域的運営推進機関の性格上、その理事長にはいわゆる“中立性”が求められるのは当然であろうから、「……(略)特定の団体の利益を代表する立場の者でないものとする」とあるのは重々理解できる。

 では現実問題として、現時点において「……(略)特定の団体の利益を代表する立場の者でない」者とは、どのような経歴の人物なのか。電気事業に造詣の深い学者か、電気事業に造詣の深い有識者か、電力行政経験が豊富な行政庁幹部経験者又は行政庁幹部出身者か。この例示した者のいずれも適任と考えられるが、どうか。

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石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]

1989年3月東京大学工学部卒業。同年4月通商産業省(現経済産業省)入省。資源エネルギー庁、生活産業局、環境立地局、産業政策局、中小企業庁、商務情報政策局、大臣官房等を歴任。2007年3月経済産業省退官。08年4月東京女子医科大学特任教授(~10年3月)。09年1月政策研究大学院大学客員教授。09年4月東京財団上席研究員。11年9月NPO法人社会保障経済研究所代表。ツイッター:@kazuo_ishikawa ニコ生公式チャンネル『霞が関政策総研』、ブログ『霞が関政策総研ブログ』


石川和男の霞が関政策総研

経済産業省の元官僚として政策立案の現場に実際に関わってきた経験と知識を基に、社会保障、エネルギー、公的金融、行政改革、リテール金融など、日本が抱えるさまざまな政策課題について、独自の視点で提言を行なっていく。

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