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野口悠紀雄 2040年「超高齢化日本」への提言

マクロ経済スライドか、支給開始年齢の引き上げか
――年金財政破綻回避のために必要なこと

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第8回】 2014年7月31日
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 年金支給総額を削減する方法としては、前回述べたマクロ経済スライドのほかに、支給開始年齢の引き上げがある。以下では、この2つの方法の比較をすることとしよう。

マクロ経済スライドで
2040年の支給総額約2割減

 計算に先立って、これまでのシミュレーション計算のまとめを行なっておこう。

 基準ケースは、当連載第5回の図表4に示したものである。このケースでは、物価上昇率、賃金上昇率、運用利回りがすべてゼロと想定されている。保険料収入や給付総額は、2014年の財政検証のケースGを基として、物価上昇率、賃金上昇率、運用利回りがすべてゼロの場合を算出している。

 ところで、ケースGでは物価上昇率が0.9%とされているので、現在の制度でもマクロ経済スライドが可能である。それに対し、第5回の図表4では物価上昇率をゼロとしているので、現在の制度ではマクロ経済スライドを実施できない。

 第5回の図表4の数字は、その制約にしたがい、マクロ経済スライドを実施しないとした場合のものである。これは、第5回の図表3のG"の結果を用いたものである。これをどのように算出したかは、第5回の図表3の下の「【2】ケースGを基礎とする場合」で説明した。

 つぎに、「物価上昇率がゼロであってもマクロ経済スライドを実施する場合」を計算した。結果は、第7回の図表1に示すとおりである。

 なお、この計算では、積立金運用利回り=0.5%、物価上昇率=0%、実質賃金上昇率=0.5%と仮定した。積立金運用利回りと物価上昇率の仮定は第5回の図表4とは異なるが、物価上昇率はどちらも0%なので、マクロ経済スライドを実施しない場合の支給総額は、第5回の図表4と同じになる。

 積立金運用利回り=0.5%、物価上昇率=0%、実質賃金上昇率=0.5%の場合において、年率0.9%のマクロ経済スライドを実施しない場合と実施した場合の結果を、ここに図表1として示そう。

 マクロ経済スライドを実施した場合の年金支給総額の削減率は、実施しない場合に比べて、20年度には5.3%でしかないが、30年度には13.5%、40年度には20.9%になる。

(注)eは当連載第5回図表3のG"の数字(マクロ経済スライドを実施しない場合)。e'は年率0.9%のマクロ経済スライドを実施した場合。どちらも、積立金運用利回り=0.5%、物価上昇率=0%、実質賃金上昇率=0.5%と仮定。
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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 2040年「超高齢化日本」への提言

日本社会は、世界でも稀に見る人口高齢化に直面しており、このため、経済のさまざまな側面で深刻な長期的問題を抱えている。とりわけ深刻なのは社会保障であり、現在の制度が続けば、早晩破綻することが避けられない。この連載では、人口高齢化と日本経済が長期的に直面する問題について検討し、いかなる対策が必要であるかを示すこととしたい。

「野口悠紀雄 2040年「超高齢化日本」への提言」

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