「事後報告ですが…」

 あなたがもし、部下からすべてが終わった後に状況を聞かされたら、どのような心持ちになりますか?「遅いよ」「いまさら」「ずるい」とネガティブな感情になりませんか?その理由は、概ね自分が「おいてけぼり」にされることが嫌だからでしょう。

 やはり報告は(可能な限り)事が終わる前に行われるべきです。ところが、実際には事後報告を繰り返す人がいます。職場での印象を良くしたいなら、こうした行為は得策には思えませんが、会社員として問題はないのでしょうか?そこで今回は、みなさんと報告のタイミングについて、じっくり考えてみたいと思います。

事前報告してくる部下、
事後報告しかしない部下

<お疲れ様です。例のプロジェクトについて相談があります。スケジュールの遅れが発生しています。役員会への報告を1週間後ろ倒しにできないでしょうか?>

 このメールの発信元は、専門商社の営業部門に勤務しているKさん(38歳)。ちなみに送信先は、Kさんの上司です。メールを受け取った上司は、

<ご苦労様。状況がわかりました。仕方ないですね。当方から役員会の事務局に、伝えて対応しておきます。引き続き、よろしく>

 と返信してきました。上司にすれば想定内のトラブルであったようです。それより、こうして事が終わる前に報告してくるKさんのような部下は、上司にとっては安心できる存在です。実はその一方で、同じ職場にKさんとは対称的な部下がいます。その部下はRさん(33歳)です。

<お疲れ様です。例のプロジェクトでスケジュールの遅れが発生しています。役員会への報告は無理なので、事務局には中止の旨を伝えておきました>

 Rさんはこのように事後報告をしてくることがしばしばです。当然ながら上司は、「どうして、上司に判断を仰いでから中止を決めなかったのか?」と指摘しますが、すると、

・連絡できる状況にはなかった
・自分を信用して任せてほしい

 と切り返して、事後報告を正当化しようとします。上司も面倒くさくなって「わかった。ただ、できる限り今後事後報告は避けてほしい」と形式的な指導をするだけで、結果的に容認する状態になっているようです。果たして、Rさんの事後報告は容認し続けてもいい行為なのでしょうか?