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「引きこもり」するオトナたち

「年越しが無事行えるまで、お付き合いください」
逼迫しながら孤高の活動を続ける引きこもり当事者

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第212回】 2014年9月4日
著者・コラム紹介バックナンバー
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<多くの方にアドバイスを頂いて、いろいろ奔走しましたが、どうにか今月は乗り切ることができることが確定しました>

 そう明かすのは、引きこもり当事者の目線から昨年9月、「苦しみと哀しみに寄り添う会 SAALA(サーラ)」という団体を自ら立ち上げ、孤高の活動を続ける吉田真樹さん(36歳)。

 当連載で紹介してきた「ひきこもりフューチャーセッション庵」や、「ひきこもり大学」に参加したことがきっかけになって、現在のSAALAへの「ひとり活動」につながった。いまは就職活動中の身でもある。

 元々、弟が実家で長年、引きこもりがちな生活をしていた。

 吉田さんは大学を卒業したものの、社会に出てから、人に合わせることができなかった。元々本人も周りに合わせるのが苦手な性格だったが、家族には相談できない、と思っていた。一人で抱え込んでしまう性格が、社会に出て壁として立ちはだかったのだ。自分ばかりが仕事に遅れ、迷惑をかけることが多く、自分の責任だという思いを強く感じるようになった。

 就職はしたものの、職を転々として、長続きせず、ついには本人も自宅に引きこもり、誰とも接点のない生活に入ってしまう。。

 しばらく家で引きこもっていた後、元々関心のあったホームレスや貧困問題の集まりに顔を出すようになった。

 「外に出るようになって、つらいとか、苦しいとか、ネガティブな感覚をより多くの人に知ってもらいたいと思うようになったんです」

 そんなとき、庵という引きこもり当事者の集まりがあることを知って、昨年6月、初めて参加した。

 「致し方のないことですけど、自分の人生を打開するには、いろんな人たちと会わなければいけないなと思いました。しかし、いろんな人たちと会うためには、自分のことも知ってもらって、信用してもらわないといけない。自分を通して、世の中が暗く見えたとか、生きてることが苦しい人たちはこういうことを考えているんだとか、知ってもらいたいというのが、ずっと根底にあったんです」

 この思いは、吉田さんが現在のSAALAにつながる「ひとり活動」の原点だ。

 「僕以外にも、たった1人で活動し続けている当事者たちがたくさんいる。このような個人的活動は、本人の人生設計という意味合いでも、大切になってくるのではないか」

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

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