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組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

会社を傾かせた犯人は、真面目ないい人!?
超高学歴“社長の右腕”を迷参謀にした病の元凶

秋山進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]
【第3回】 2014年9月16日
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 いろんな会社を見てきたが、どんな会社にも、トップの「右腕」「懐刀」「知恵袋」「ブレーン」などと呼ばれる重要人物がいる。特に、急成長企業ではその役割が一人に集中することが多いため、「右腕」の能力の限界が企業全体の限界となり、その興亡まで左右してしまうケースが少なくない。みんながみんな軍師・黒田官兵衛のように優秀な参謀ならば問題ないのだが、そううまくはいかないものだ。私が見たある急成長企業の右腕=“官兵衛さん”にも、やはり問題があった。

超高学歴でいい人だけど失敗ばかり
“官兵衛さん”には何が足りなかったか

 “官兵衛さん”は、経営者から直々にスカウトされてその会社にやって来た人で、経営企画の仕事をしていた。“企画”といってもあまりクリエイティブな仕事ではなく、官兵衛さんの得意分野は予算策定や予実管理、財務計画立案など。その後、経理システムを担当したことからIT方面にも詳しくなり、経営者の絶大な支持を得て、経営企画室長兼秘書室長的なポジションに就いた。その頃には、経営者は分野に関係なく何でも官兵衛さんに相談するようになる。やがて経営者は新規事業に注力することになり、既存事業はほぼ官兵衛さんに任せきり。会社の情報はすべて官兵衛さんを通して回るようになっていた。

 このように言うと、官兵衛さんのことを「さして能力はないのに社長に取り入って権力を手にしたイヤな奴」「他の社員を蹴落としてでも自らの出世を目論む腹黒い人物なのだろう」と想像する人もいるかもしれない。しかし、事実は真逆である。官兵衛さんはとても真面目で勉強家ないい人で、腹の中は真っ白。事実、彼の得意としていた分野においては、極めて高い能力があった。

 もしかしたら、トップ直々のスカウトということで「ほかの社員よりも努力しなければ」というプレッシャーもあったのかもしれない。経営者から意見を求められれば、市場分析や販売促進、営業、製造……と、何でもかんでも教科書とにらめっこをして、専門外の分野でも期待に応えようとした。また、官兵衛さんは最高学府のご出身で非常に頭も切れ、まわりの人を説得できる程度の知識はすぐに身につけることができたのである。

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秋山 進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]

リクルート入社後、事業企画に携わる。独立後、経営・組織コンサルタントとして、各種業界のトップ企業からベンチャー企業、外資、財団法人など様々な団体のCEO補佐、事業構造改革、経営理念の策定などの業務に従事。現在は、経営リスク診断をベースに、組織設計、事業継続計画、コンプライアンス、サーベイ開発、エグゼクティブコーチング、人材育成などを提供するプリンシプル・コンサルティング・グループの代表を務める。京都大学卒。国際大学GLOCOM客員研究員。麹町アカデミア学頭。

著書に『「一体感」が会社を潰す』『それでも不祥事は起こる』『転職後、最初の1年にやるべきこと』『社長!それは「法律」問題です』『インディペンデント・コントラクター』『愛社精神ってなに?』などがある。


組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

日本には数多の組織があり、多くの人がその中に属しています。組織は、ある目的のために集まった人たちで成り立っているにも関わらず、一度“病”にかかれば、本来の目的を見失い、再起不能の状態へと陥ります。しかも怖いのが、組織の中の当人たちは、“病”の正体が分からないどころか、自分たちが“病”にかかっていることすら気づけない点です。

この連載では、日本の組織の成長を阻害している「組織の病気」を症例を挙げて紹介。コンプライアンスの観点から多くの企業を見てきた筆者が考える治療法も提示します。

「組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進」

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