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元法制局キャリアが教える! 法律を読むセンスの磨き方・伸ばし方
【第5回】 2014年9月22日
著者・コラム紹介バックナンバー
吉田利宏

「却下」と「棄却」の違いを知っていますか?
知性と教養を演出する法律用語

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契約が「無効」とされる場合と、「取消し」とされる場合は何が違うのか。
訴えが「却下」される場合と、「棄却」される場合は何が違うのか。
普段何気なく使っている言葉でも、実は厳密な違いがある言葉も存在する。
そんな言葉の意味の違いをさりげなく説明できれば、法律への理解の深さを、それこそ、さりげなく相手に伝えることができるはず。
今回は、そうした法律用語をセットで紹介する。

この言葉を知っていれば知性や教養を演出できる

 前回に続いて、ビジネスや日常生活によく効く法律用語についてお話ししたいと思います。商談や交渉といったビジネスシーンでの心強い武器になる法律用語ですが、複数の用語の意味を同時に理解することで、「なるほど」と用語の理解が深まり、適切なシーンで使いこなせるようになることがあります。たとえば、契約の「無効」と「取消し」の違いや、「却下」と「棄却」の違いをスッと説明できたら、誰もがあなたに一目置くようになるはずです。

「違法(不正)」と「不当」

 「違法」と「不正」は、ともに法律に違反して、その状態が「反社会的だ」という場合に使います。一方、「不当」とは、必ずしも法律違反の場合ばかりでなく、適当でないというような場合も使われます。

「無効」と「取消し」

 「無効」と「取消し」の違いの基本をお話しします。「無効」とは、理由があって最初から法律上の効果が生じていない状態をいいます。最初から法律上の効果がないのですから、あとで認めたり(追認)することは原則としてできませんし、誰から見ても無効は無効です。

 一方、「取消し」は、取り消されるまで有効な行為であるとされます。取り消されたら、さかのぼって、その行為の効力が失われます。

 「無効」と「取消し」の例をあげておきましょう。売る気もない者が「売ってあげる」といい、それに応じて買う気もない者が「買おう」という場合、お互いに意思がないのですから、この売買契約は無効です。そもそも売買契約が成立していないのです。

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    吉田利宏(よしだ としひろ)

    元衆議院法制局参事
    1963年神戸市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、衆議院法制局入局。以後15年にわたり法律案や修正案の作成に参画。現在、著述、講演活動を展開。早稲田大学エクステンションセンター講師、自治体研修講師・各種審議会委員。
    主な著書に、『元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術』(ダイヤモンド社)、『つかむ・つかえる行政法』(法律文化社)、『法令読解心得帖』、『法実務からみた行政法 エッセイで解説する国法・自治体法』(いずれも共著・日本評論社)、『新・法令用語の常識』(日本評論社)など多数。


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