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ゼロから「1」をつくるベンチャー企業経営術とは?
~読書の秋に『ゼロ・トゥ・ワン』を読むべき理由

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第348回】 2014年10月1日
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面白さと実用度の両方で突出している!
今年最高のビジネス書『ゼロ・トゥ・ワン』

 ペイパルとパランティア(どちらも上場して巨額の富をもたらした)の共同創業者にして、フェイスブックの最初の外部投資家であり、スタートアップ企業に投資するファンドの運用者でもあるピーター・ティール氏が書いた『ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか』(関美和訳、NHK出版)は、筆者が思うに、今年最高のビジネス書だ。面白さと実用度の両方で、突出している。

 経済学の世界では、「儲かるビジネスのやり方」は一般化できない。細かな理屈を言うなら、「儲かる」ということがどういった状況を指すかの定義が問題だが、早い話が、儲かるやり方があるなら皆真似するはずなので、儲けを払ってくれる人が早晩いなくなって、利益はゼロに収斂するはずだ。

 一般化できるとは「あなたにも(誰にでも)できます」ということなので、この論理から逃れることは難しい。

 これまで、多くの経営書、ビジネス書は、論理的には説明できない「思い込みの勧め」か、特定の成功例の(多くは経営者個人の)「自慢話」の聞き書きだった(経営者本人が書いたものよりも、ライターが書いたものの方がまだ読みやすい)。

 しかし、全ての人や企業が儲ける方法を体系化することは難しいとしても、儲かっている企業に共通の原則をまとめることなら、ある程度可能だろう。ティール氏は、これを主にスタートアップ企業を対象に、高いレベルで達成したように見える。

 彼が今回明かしてくれたコツは、一体何だろうか。

 書名の「ゼロ・トゥ・ワン」は、無から有を生むような進化を指すが、1日に1台のタイプライター生産を1日に100台つくるような改善は単に水平進化であり、新たにワープロを発明するような垂直的な進化こそが本物の進化であり、ビジネスで重要なのはこちらの方だとティール氏は言う。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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