女装でもない、男装でもない
「チェンジ」

「チェンジ」前の写真を撮られる編集長。チェンジストの池田さんが軽妙なトークとともに、デジカメのシャッターを自ら押していく

 サロンの名称は「ZOOM」。WEBサイトでは「トータルビューティーサロン」と謳っている。地図を頼りに街中を歩いたが、なかなか見つからない。

 それもそのはず、路上に看板のない、住宅街のマンションの一室だった。ドアベルを鳴らすと、一人の女性が温かく迎えてくれた。名刺には、「チェンジスト 池田奈保実」と書かれている。

「『チェンジスト』というのは、このサロンを訪れる人が、毎日の暮らしをより前向きにチェンジしてほしいから。それをお手伝いするのが私の仕事です」

 では、どのような方法で来訪者をチェンジさせるのか?

 サロンの部屋に通された私たち3人は、その4畳半ほどのスペースを見渡しながら質問を重ねた。

サロンの部屋には、女性用の衣装やウィッグなどがたくさん並べられている。「チェンジ」に欠かせないツールだ

 中央には大きな鏡台があり、壁際のラックには多種多様な女性用の衣装が提げられている。天井近くの棚には、金髪・黒髪・ショート・ロング・ボブカット……あらゆるウィッグ(カツラ)が並べられていた。

「……女装専門店ですか?」

 短刀直入に切り出すと、池田さんは笑みを浮かべて、編集長を座り心地の良さそうな椅子に誘(いざな)った。ヘアサロンに置かれているタイプのものだ。

「『女装』という言葉には、どうしてもマイナスのイメージがつきまといますよね。それを前面に出すタレントの方なら問題ないですが、一般の方で『女装』と言えば、『変わった趣味の持ち主』という色眼鏡で見られがちです。ですから、私は『女装』という言い方はしません」