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成績優秀なのに仕事ができない
“大人の発達障害”急増の真実

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第11回】

 発症するのは、脳内の前頭葉のドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンの代謝がうまくいっていないことが原因。前頭葉には、人の話を集中して聞いたり、新しいものをつくったりといったイマジネーションを司る。一方で、酒やギャンブル、セックスなどの欲望も、前頭葉の抑制が関わっているため、前頭葉の違いが、社会生活を大きく左右しているというのだ。

40~50代でも間に合う!
障害を受け入れ、薬物療法を

 とはいえ、すでに大人になっていても、40~50代になっていても、「治療を始めるのに遅すぎることはない」「発達障害は治療できる」と星野教授はいう。

 一般的な対応としては、(1)心理教育と環境調整療法、(2)認知行動療法、(3)心理療法(カウンセリング)、(4)自助グループへの参加、(5)薬物療法などを中心に行う。

 そこで、「まず本人が、発達障害であることに気づいて、受け入れること。そして、周囲も適切な支援やサポートを行うことが、克服するために必要」だと指摘。「大人の発達障害には、薬物療法が極めて有効」という。

 欧米の薬物療法研究の論文では、発達障害と診断された大人の患者60%が、中枢刺激剤の投与で改善を示したという。

 実際、星野教授は、先ほどの80人の外来患者に、中枢刺激剤の「メチルフェニデート」(以前はリタリン、現在はコンサータ)を使用したところ、衝動的行動、不注意、ストレス耐性の低さなどの症状が劇的に改善。合併症であるうつ病や依存症、不安障害も軽減したと報告している。ただ、現在、大人の発達障害へのコンサータ使用は、認可されていない。

 他にも、症状に合わせて、SSRIやバルプロ酸、アトモキセチンなどの適切な使用は効果があるという。

 最近では、こうした発達障害を引き起こす原因として、前頭葉がつくられる妊娠2~3か月の間に母親が、水銀や鉛などの重金属、PCB、ダイオキシンなどの環境汚染の影響との関連が、アトピー性皮膚炎などのアレルギーとともに注目されている。厚労省は10年4月から、出生した子供10万人を対象に、15年間にわたって、胎生期の重金属や環境ホルモンの汚染と、出生後の発達障害やアレルギーとの因果関係を大規模追跡調査していく方針という。 

 自分の評価を大きく低下させる要因の発達障害が、なぜ起こるのか。その実態が明らかにされるまで、あと15年の歳月を待たなければならない。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

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