【働きながら3年で、9つの資格に独学合格】必ず成績が上がる「8月の勉強法」とは?
働きながら3年で、9つの資格に独学合格! 大量に覚えて、絶対忘れないノウハウとは?
「忘れる前に思い出す」最強のしくみ、「大量記憶表」を公開!
本連載の著者は棚田健大郎氏。1年間必死に勉強したにもかかわらず、宅建試験に落ちたことをきっかけに、「自分のように勉強が苦手な人向けの方法を編み出そう」と一念発起。苦労の末に「勉強することを小分けにし、計画的に復習する」しくみ、大量記憶表を発明します。棚田氏の勉強メソッドをまとめた書籍、『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』の刊行を記念して、メソッドの一部を公開します。

【働きながら3年で、9つの資格に独学合格】必ず成績が上がる「8月の勉強法」とは?Photo: Adobe Stock

8月にやるべきことは、「これ」だ!

 まもなく7月も終わり、8月になりますね。本日は8月の勉強法についてお話しします。

 受験生にとって、この8月という時期がいかに重要か。これは宅建試験に限った話ではなく、賃貸不動産経営管理士や行政書士、マンション管理士、管理業務主任者など、年末に向けて控えているさまざまな資格試験すべてに共通して言えることです。もっと言えば、8月を制する者は試験を制すると言っても過言ではありません。

8月にすべきこと「勉強を継続すること」

 ただし、ここで勘違いしてほしくないのは、「8月はとにかくたくさん勉強しまくれ」という単純なことを言いたいわけではない、ということです。そんな乱暴なことを言うのは、受験生の気持ちを理解していない発言だと私は思っています。大事なのは、量ではなく、どれだけ継続できるか。試験日当日まで、学習をやめずに続けられるかどうか。実はこれが一番重要であり、そして一番難しいんです。

 去年のデータを見てみましょう。2024年度、宅建試験の出願者は約30万人。ところが、実際に受験したのは24万人ほど。つまり、およそ6万人が受験会場に来なかったということになります。ちなみに、2023年も同様に、出願者数約29万人に対して、実際に受験したのは23万人ほど。これ、毎年同じような数だけ脱落しているんです。しかも、ただ消えただけじゃない。試験料として8200円支払っているわけですから、それだけでもおよそ5億円が「受けずに寄付された」ということになります。これって、本当に衝撃的な事実だと思いませんか?

 つまり、宅建試験の不合格者というのは、ただ合格点に届かなかった人だけではないんです。そもそも受験会場にたどり着けなかった人、ここも含まれている。私から言わせれば、この人たちこそ真の不合格者だと思っています。そしてこの「姿を消す6万人」の多くは、8月の過ごし方によって決まってしまっているのです。

「今年は忙しいし、もういいかな」という罠

 私が10回、仕事と両立しながら資格試験に挑んできた経験からも言えますが、とにかく毎日、学習を継続することが何よりも大切。ですが、この8月というのは、毎日学習を続けること自体が非常に難しくなる時期でもあるんです。暑さに加えて、仕事も忙しい、家庭の予定も増える。夏休みがある人は逆に生活リズムが乱れる。そんな中で「この夏にスパートをかけなきゃ」と気負いすぎると、体力的にも精神的にもバテてしまう。そしてある日ふと思うんです。「今年は忙しいし、もう来年でいいかな…」と。この一言が、まさに脱落者ルートへの入り口です。

 では、どうすればこの罠にはまらずにすむのか。答えは「計画的に、淡々と、続けること」。とにかく、たくさんやる必要はありません。重要なのは、やった内容がしっかりと身になっているかどうか。そして、やったということをちゃんと可視化して、自分の中で「根拠のある自信」を積み上げていくことです。

 私は実際に、自作の大量記憶表で、やった範囲を色で塗りつぶして管理していました。大量記憶表とは、「今日覚えたことを明日思い出す、明日また思い出して、明後日も思い出す」というサイクルを可視化し、繰り返し復習するための表です。詳しく知りたい方は、拙著『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』をご確認ください(下図参照)。

【働きながら3年で、9つの資格に独学合格】必ず成績が上がる「8月の勉強法」とは?出典:『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚勉強法」』
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 大量記憶表があると、漠然とした不安が消えて、自分の記憶の定着が目に見えるようになるんです。「ここまでやったんだから大丈夫」という自信に変わる。これが、学習の継続においてとても大事な支えになります。

 さて、8月の具体的な過ごし方として、今まだ全分野が終わっていないという人は、まず8月末までにすべての分野を一通り終えるという目標を立ててください。もちろん、人によっては複数分野を並行して進めなければ間に合わないという状況もあると思います。そういう場合は、無理のない範囲でそれを実行してください。できれば、9月以降は模試や演習など、より実践的な学習に移行できるように準備しておくのが理想です。

 一方で、すでに全分野を終えているという人は、これまで覚えた内容を忘れないよう、定期的な復習を必ず入れてください。目安としては2週間に1度。ただし、忘れやすい人は1週間に1度でもいいし、逆に記憶が定着しているという自信がある人は3週間でも構いません。大切なのは、「思い出す」という行為をサボらないこと。せっかく覚えた知識も、1ヵ月触れないでいると大抵は抜け落ちてしまいます。つまり、今覚えていても、10月に覚えていなければ意味がないんです。

「もうやめたいな」と思ったら?

 もし、これから先、仕事が忙しくなったり、暑さや疲れで気力が削られて「もう今年はやめたいな…」と感じたら、ぜひ思い出していただきたいのが「客観視」です。私はいつも動画でもお話ししていますが、客観視とは、自分を第三者の目で見つめること。つまり、冷静に自分の状態を観察するということです。

 試しにやってみてください。「今年はもう無理かも」と思ったその瞬間、鏡の前に立ってください。鏡がなければスマホのインカメラで自分の顔を見てみてください。そして、こう思いましょう。「これが不合格フラグか…」と。そう思ったら、頭の中に「今年、宅建試験に合格しますか? はい/いいえ」という選択肢を表示して、自分で“はい”を選び続けるんです。他人事のように自分を観察することで、余計な感情に振り回されず、冷静な判断ができるようになります。

 人は放っておくと、だらだらとやらなくなっていきます。「今日は疲れてるから…」「明日まとめてやればいいや」そうして1週間が過ぎる頃には、もう戻る気力がなくなってしまう。だからこそ、「冷静に客観視する時間」を必ず持つようにしてください。

(本原稿は、『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』の一部抜粋・加筆したものです)