【働きながら3年で、9つの資格に独学合格】「読むのが遅くても合格できる」…超意外な突破法とは?
働きながら3年で、9つの資格に独学合格! 大量に覚えて、絶対忘れないノウハウとは?
「忘れる前に思い出す」最強のしくみ、「大量記憶表」を公開!
本連載の著者は棚田健大郎氏。1年間必死に勉強したにもかかわらず、宅建試験に落ちたことをきっかけに、「自分のように勉強が苦手な人向けの方法を編み出そう」と一念発起。苦労の末に「勉強することを小分けにし、計画的に復習する」しくみ、大量記憶表を発明します。棚田氏の勉強メソッドをまとめた書籍、『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』の刊行を記念して、メソッドの一部を公開します。

【働きながら3年で、9つの資格に独学合格】「読むのが遅くても合格できる」…超意外な突破法とは?Photo: Adobe Stock

「読むのが遅くても合格できる」…超意外な突破法とは?

 本日は、「問題文を読むのが遅い」という悩みを抱える受験生に向けたお話です。

 問題を解いていると、自分は文章を読むのが遅いなとか、答えを出すまでにすごく時間がかかるなと感じたことはありませんか?

 もしそう思ったことがあるなら、あなただけではありません。実は私自身がまさにそうなんです。読むのは早い方じゃないし、本を読むスピードだって特別速いわけではありません。こういうタイプの人って意外と多いんじゃないでしょうか。

 普段の勉強中であれば、多少読むのが遅くてもそんなに問題にはならないかもしれません。ゆっくり考えられる余裕もありますからね。でも、試験本番になると話はまったく違ってきます。読むのが遅い、考えるのが遅いというのは、それだけで致命傷になりかねません。「わかってたのに」「落ち着いて解ければ正解だったのに」と思っても、本番で得点できなければ意味がないんです。知識があっても、本番で発揮できなければそれは存在しないのと同じこと。だからこそ、読むのが遅いと自覚している人は、早めに対策をしないといけないんです。

とある受験生の悩み

 こうした問題意識に対して、ある方からとても大事な質問をいただきました。その方はすでに全範囲を4~5周していて、復習もしっかりやっているとのこと。でも、読むのが遅くて120分で50問解き終えることができるのか不安で、過去問演習をいつから始めればいいのかという内容でした。

 この質問を読んで、私はすぐにこう思いました。「今すぐ自力模試をやってください」と。完璧じゃなくても構いません。全範囲が一通り終わっているなら、一度でいいので2時間かけて本番形式で解いてみてください。自力模試というのは、市販の予想模試を買って、自分の家や図書館などで、集中して2時間取り組む模擬試験のことです。多くの人がこれを後回しにしがちです。私もそうでした。理由は単純で、怖いからです。点数が低かったらどうしようとか、2時間も時間が取れないとか、いろんな言い訳をしてしまいがちです。でも、遅いと感じているならこそ、現実を確認しておく必要があります。

究極の切り札、ワンブースト

 読むのが遅い人にとって、時間を短縮するための切り札になるのが「ワンブースト」という手法です。

 これは選択肢を1から4まで読んでいく中で、1番を読んだ時点で「これが正解だ」と思ったら、残りは読まずに飛ばすという方法です。これによって、時間を大幅に節約することができます。私はこのワンブーストをどの資格試験でも積極的に活用していました。とにかく50問すべてを一度解き切ることが大事なんです。試験中は緊張します。緊張で頭が真っ白になることもあります。でも、50問すべてを一度でも最後までたどり着ければ、それだけで精神的に安定します。「間に合った、ひとまず終わった」という安心感が生まれ、冷静さが戻ってくるのです。

 もちろん、飛ばした選択肢を永遠に読まないわけではありません。一度解き終えたあとに、もう一度見直せばいいんです。その時には、時間的にも精神的にも余裕がありますから、冷静に確認ができます。逆に、最初からすべて読もうとすると、引っかけ選択肢に余計に悩んでしまって混乱するリスクもあるんです。すべてを読むことが必ずしも正解率を上げるわけではありません。だからこそ、ワンブーストの練習を今から積んでおくことが、試験本番でとても大きな力になります。

ミニ模試をやってみよう

 もし2時間連続で学習時間が確保できない人は、分野ごとのミニ模試をやってみてください。たとえば宅建業法だけを20問通しで解いてみる、権利関係だけを14問解くといった具合です。時間の目安としては、宅建業法で20問30分、法令制限で8問10分、権利関係で14問35分くらい。これでも結構タイトなスケジュールです。特に権利関係は難易度が高くて時間がかかるので、その分を確保するためにも、宅建業法と法令制限の部分で時間を削り取っていく必要があります。

 そのために、私は「問26から解き始めて権利関係を最後に回す」という順番を推奨しています。これなら、後半にしっかり時間を残せる。試験本番で、権利関係に入る前に1時間以上時間が残っていれば、かなり落ち着いて取り組めるはずです。焦って解き始めるのと、余裕を持って解くのでは、正答率がまったく変わってきます。

 ちなみに、模試をやるときには過去問を使うのではなく、できるだけ市販の予想模試を使ってください。過去問はすでに何度か見たことがあるので、無意識のうちにスピードが上がってしまいます。初見の問題で自分の感覚を試してこそ、本番の練習になるんです。初見問題にどう向き合えるか、それを事前に経験しておくことが、本番でのパフォーマンスを大きく左右します。

 今すぐやってみてください。まだ完璧じゃなくても構いません。一度模試をやってみて、自分がどれくらいのペースで解けるのか、今の状態を把握してください。それが今後の対策を立てる上で、何よりも大切な一歩になるはずです。

(本原稿は、『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』の一部抜粋・加筆したものです)