創続総合研究所

せっかく持っている土地を、空き地のままにしておくのはもったいない。アパートを建てるなど対策を打てば大きな節税メリットが受けられる。ただ、リスクの見極めも肝心だ。

アパート建築で評価を大幅減!!
都市部への住み替えも有効策

  石田幸三さん(仮名・60歳)は、自宅敷地の南側に隣接し、長年使ってこなかった土地を持っている。以前は駐車場として近隣住民に貸していたが、思うように契約が伸びず更地に戻した。

 数年前からこの土地の周辺に、高層マンションが相次いで建ち始めた。自宅の日当たりのよさを保つために、南側の土地はあえて使わず、更地のままにしてきた面もある。

 将来はこの土地を長男に相続させるつもりだが、最近路線価をチェックしたところ、課税評価額が1億円に上ることがわかった。このままだと多額の税負担が発生しかねない。

 以前からアパート経営に興味があり、近隣にオフィスや学校が多いことから、手元にあった預貯金1億円を使って建築に踏み切ることにした。

 こうしたアパート建築、実は大きな節税メリットがある。まず現金が不動産というモノに替わることで、相続税の評価額が下がる。それに加えて第三者に貸すことで住む人の権利を考慮することになり、「借家権」や「借地権」が発生し、その割合分が減額される。

 具体的にはまず現金がアパートに替わることで、固定資産税上の評価になる。固定資産税評価額は、おおむね建築費の50~60%だ。そこに部屋を借りている人の持ち分として、「借家権」の決められた割合30%を減額する。こうすることで最終的には1億円の現金を、相続税の評価額で4200万円に圧縮できるわけだ。

 更地だった土地についてはどうか。アパートを建てたことで、土地は「貸家建付地」として扱われる。ここでも住んでいる人の持ち分を踏まえ、借地権と借家権を組み合わせて評価する。

 借地権の割合は地域によって設定が違うが、ここでは平均的な60%とした。さらに借家権の30%を減額し、評価額は1億円から8200万円に減額された。2億円の評価額が建物と土地を合わせると1億2400万円になり、約4割圧縮できた計算だ。

 石田さんはアパートの部屋が埋まり、経営が軌道に乗れば、長男に早い段階でアパートを贈与しようと考えている。

 年間400万円の家賃が入れば、石田さんの財産がまた膨らんでしまうためだ。長男は娘2人を私立の学校に通わせており、高い学費を払っている。家賃収入で長男の家計を少しでも助けることになればと考えている。

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週刊ダイヤモンド編集部


もめる相続

日本では毎年約110万人が亡くなる。このうち相続税が課される人はわずかで、これまで相続はどこか他人事でもあった。だが、相続税の大増税が決まった今、この状況は大きく変わる。相続発生時に申告が必要な人は大幅増。首都圏では約4割に達すると見込まれている。これまで資産課税に無縁だった一般家庭こそ、ムダに税金を払わない工夫の余地が急がれる。

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