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野口悠紀雄が探る デジタル「超」けもの道

データの安全確保とグーグルのGmail

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第11回】 2008年2月4日
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 Gmailのログ保存容量が大きく、かつ検索機能がきわめて強力であることは、これをデータ格納装置として使えることを意味する。つまり、保存したいデータは、自分宛てのメールとして(あるいは、それに添付して)Gmailに送る。そして、Gmailのログとして保存するのだ。これは、データ保存に関する基本的思想に大転換を迫るものだ。以下では、それについて述べよう。

 これまで私は、PC(パソコン)で作業した内容をPC内のHD(ハードディスク)に格納していた。多くの人が同じようにしていると思う。

 私の場合、自宅で作業するだけでなく、大学の研究室で作業することもある。また、自宅にも複数のPCがある(いくつかの場所で作業したいためと、PCが事故を起こした場合に備えるためである)。このため、作業中のデータはポータブル用の小さな外付けHDに格納して持ち運ぶことが多かった。これは、データのバックアップにもなっていたのである。

 外付けHDが大容量化し、かつ価格も低下したため、主たる記憶装置はPC内のHDから外付けHDに移行していた。これから行なおうとしているのは、PC内のHDや外付けHDにあるデータを、Gmailのログに徐々に移そうということだ。具体的にどのような方法でこのシステムを運用するかについての細かい方法論は次回以降で述べることにしよう。今回は、それに先立って、これが「データの安全」とどのようにかかわっているかを述べる。

 主たるデータ格納場所を外付けHDにする方式は、「どこでも作業できる」という利便さを実現してくれる。しかし、その半面で、安全確保の面では、いくつかの問題がある。

 第一は、持ち歩くことから生じる紛失事故である。私は数年前に外付けHDを紛失したことがある。場所がどこだったかは見当がつくのだが、発見することができなかった。幸いにしてデータ漏えいに伴う問題等は何も起きなかったが、「あのHDはいったいどこにいってしまったのだろう」と考えると、いまでも嫌な気がする。

 第二は、HDのクラッシュだ。落下などの物理的な事故や、取り外し時の事故は、かなり頻繁に生じうる。私の場合、HDのすべてが読めなくなった事故が1回あった。一部のデータが破壊された事故は、3回ほどあった。多くの人がこのような事故を経験していると思うので、それが生じたときのパニック状態は、ここで述べなくとも明らかだろう。

 このように、外付けHDは、「完全には信頼できない装置」と考えているほうが安全なのだ。「使用している全データをどこにでも簡単に持ってゆける」という利便さは、10年前には想像もできなかったものだ。しかし、その半面で、10年前には想像もできなかった深刻な事故に見舞われるようにもなったのである。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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