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弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く

日立の上場子会社の完全子会社化から見える“親子上場”の弊害

永沢 徹 [弁護士]
【第69回】 2009年8月7日
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 電機メーカー大手の業績が改善し始めているが、依然として各社とも先行きに慎重な姿勢を崩してはいない。そんな中、日立製作所が日立マクセルなど上場子会社5社を完全子会社化する方針を発表した。5社合計の買収費用は約2790億円で、8月20日から株式公開買い付け(TOB)を開始、年度内の完全子会社化を目指すという。

 完全子会社化によって、日立本体と子会社5社はこれまで維持されてきた親子上場が解消されることになる。そもそも親子上場は、親会社と子会社の利益が相反するなどの理由で懸念され続けてきた問題だ。今回は、親子上場の問題点とそれが今回の完全子会社化に与える影響について考えていきたい。

親子会社上場は
親会社と少数株主の利益相反を招く

 2007年3月、東証の上場制度整備懇談会が発表した「上場制度整備懇談会中間報告」によると、当時の東証上場会社のうち上場子会社の割合は13.5%とかなりの割合を占めていた。子会社上場は、新たな投資対象が市場に提供されるというメリットなどがあるが、その一方で、必ずしも望ましい上場政策と言えない一面がある。

 今年6月、金融審議会は「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ報告」という分科会を行い、『上場企業等のコーポレート・ガバナンスの強化に向けて』という報告書の中で「子会社上場」について以下のように指摘している。

 「親会社と上場子会社の少数株主の間には潜在的な利益相反関係の発生や、親会社による上場子会社の経営の支配等を通じて、上場子会社の株主保護が十分に図られないおそれがあり、必ずしも望ましい上場政策とは言えない」

 そして、「利益相反関係や親会社による支配の弊害を解消して、少数株主の権利を保護するための十分な措置が講じられる必要がある」としている。

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永沢 徹 [弁護士]

1959年栃木県生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験合格。卒業後の84年、弁護士登録。95年、永沢法律事務所(現永沢総合法律事務所)を設立。M&Aのエキスパートとして数多くの案件に関わる。著書は「大買収時代」(光文社)など多数。永沢総合法律事務所ホームページ


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